福岡県農業総合試験場研究報告20 (2001) pp 9−12
スクミリンゴガイの被害軽減を前提とした水稲湛水直播栽培の初期水管理(潤土管理)における施肥法と雑草防除法
岩渕哲也1)・田中浩平1)・原田皓二2)
(農産研究所)
[摘要]水稲湛水直播栽培において、スクミリンゴガイ被害軽減を目的とした初期水管理である潤土管理(土壌が常に湿潤な状態)する場合の施肥法や雑草防除法を検討し、次の点を明らかにした。
1 土壌の酸化還元電位が保たれていたため、初期落水管理と比較して苗立率が向上した。
2 慣行の施肥法では水稲の生育が劣りやや減収したが、緩効性肥料による一回全量施肥や基肥を省 略して播種後30〜40日頃に追肥することにより、初期落水管理と同等の収 量、品質が得られた。
3 麦わらをすき込むと、初期生育が劣り、u当たり穂数が減少して、収量は低下した。
4 雑草の発生量が多く、発生期間も約1ヶ月続いた。雑草防除法としては初期除草剤の ピラゾレート粒剤と中後期除草剤のシハロホップブチル・ベンタゾンME液剤との体系 処理が効果的であった。
[キーワード:潤土管理、湛水直播栽培、スクミリンゴガイ、酸化還元電位、施肥]
Early Water Management(Wet Soil Management)Cultivation Technology such as Method of Fertilizer Application and Weed Control System Assuming the Apple Snail Damage Reduction on Direct Seeding in Paddy Field of Rice. IWABUCHI Tetsuya ,Kohei TANAKA and Koji HARADA (Fukuoka Agric. Res.Cent., Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent. 20: 9 - 12 (2001)
[Key words : Apple snail, Direct seeding in paddy field of rice, Fertilizer, Redox potential, Wet soil management]
1)現豊前分場 2)現筑後分場