福岡県農業総合試験場研究報告17(1998) pp 119 - 123
 
開花期の降雹がカキの結実、果実品質及び花芽着生に及ぼす影響
林 公彦・千々和浩幸・牛島孝策
(園芸研究所)
 
[摘要]開花期の降雹害がカキの結実、果実品質、花芽分化および翌年の潜蕾に及ばす影響を明らかにした。降雹による葉と果実への直接被害は、同じ町内でも樹園地間差が認められた。開花期に降雹害を受けたカキでは被害直後から落果が始まり、満開後40日頃まで続いた。葉や花蕾の被害度が大きいほど落果が多く、‘伊豆’ではほとんどの果実が落果した。雹害を受けた樹はへたの発育が悪く、果実肥大も抑制された。また、果実糖度は高いものの、被害樹では果皮色が劣った。休眠期の結果母校当たり花芽分化数は、被害樹で無被害樹より少なかった。雹害後に副梢が発生した結果母枝は春枝部分にはほとんど着蕾はみられないが副梢部分には着蕾が多く、副梢部分の炭水化物濃度は高かった。以上のことから、開花期の降雹による葉や花蜜の損傷は着果数を減少させ、果実肥大を抑制するが、副梢を結果母枝として利用することで次年度の果実収量を確保できると考えられる。
[キーワード:雹害、落果、果実品質、花芽分化、副梢]
 
 Influence of Hail-Fall during Blooming of Japanese Persimmons on Fruit Set, Fruit Quality and Bearing. HAYASHI Kimihiro, Hiroyuki CHIJIWA and Kosaku USHIJIMA (Fukuoka Agricultural Research Center, Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent.,17: 119 - 123 (1998)
[Key word : damage by hail-fall, fruit dropping, fruit quality, flower bud, summer branch]
 
全文 (full text ) (pdf 701KB) 
 
目次へ戻る  back to contents