福岡県農業総合試験場研究報告17(1998) pp 57 - 61
 
体細胞胚由来のイグサ新品種‘筑後みどり’の育成
中原隆夫・住吉 強1)・森藤信治2)・平島敬太・古賀正明・松井 洋3)・大隈充子4)・藤富慎一・内村要介
(生産環境研究所)
 
[摘要]イグサの組織培養を利用した育種に取り組み、高品質多収で普通刈栽培向きの新品種‘筑後みどり’を育成した。‘いそなみ’、‘ふくなみ’の体細胞胚由来の再生植物それぞれ107、550系統を圃場で栽培して特性を調査した。再生植物は、茎が長く、長茎数が少なく、長茎乾茎重が軽く、茎の太さが大きく、着花量が多くなる傾向が認められた。‘いそなみ’由来の再生植物の中から、収量と品質が極めて優れる‘筑後みどり’を選抜した。本品種の特性は、現在最も普及している‘いそなみ’と比較して、茎が長く、1株の有効茎数、長茎数、120cm以上茎数が多い。有効乾茎重、長茎乾茎重、120cm以上乾茎重が重く、収量性に優れる。変色茎が少なく、原草及び畳表の品質評価は優れる。本品種は12月上旬植え付け、7月上中旬刈取りの普通刈栽培に適する。1997年1月に種苗法による品種登録を出願した。
[キーワード:イグサ、育種、組織培養、体細胞胚、培養変異]
 
 A New Mat Rush Cultivar 'CHIKUGOMIDORI' Derived From Somatic Embr-yo. NAKHARA Takao, Tsuyoshi SUMIYOSHI, Nobuharu MORIFUJI, Keita HIRASHIMA, Masaaki KOGA, Hiroshi MATSUI, Mitsuko OKUMA, Shinichi FUJITOMI and Yousuke UCHIMURA (Fukuoka Agricultural Research Center, Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent.,17: 57 - 61 (1998)
[Key word : Mat Rush, inhibiting of the premature growth, amount of basal nitrogen applied, planting density, size of planting hill]
 
1)筑後分場)、2)現北筑前農業改良普及センター、3)現園芸研究所、4)前豊前分場
 
全文 (full text ) (pdf 577KB)    第1図 fig.1   (jpg 116KB)
 
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