福岡県農業総合試験場研究報告17号（1998） pp 27 - 31
重鉱害田土壌の復旧作土としての利用
渡邊敏郎・豊田正文１）
（鉱害試験地）
[摘要]坑内水が流入した重鉱害田土壌は、坑内水由来の硫化物を含み酸性硫酸塩土壌になっている。このような重鉱害田土壌を復旧作土として有効利用するため、復旧時に作土へ混入する硫化物含有堆積物の混入割合や炭酸カルシウムによる中和処理が作物の生育収量に及ぼす影響について検討した。①重鉱害田土壌を復旧作土として利用すると作土は強酸性化し、小麦の収量はほとんど皆無になった。しかし、中和することによって小麦の生育や収量は良好になった。②硫化物含有堆積物の混入は、作物の生育障害を助長させる反面、中和処理との併用によって作土の理化学性が改善され、作物の増収効果が認められた。③硫化物含有堆積物20％の混入は水稲に悪影響を及ぽすことなく、むしろ水稲の収量は堆積物が混入しない場合より増加した。
［キーワード：重鉱害田、酸性硫酸塩土壌、硫化物、水稲、小麦］
Application of Acid Sulfate Soil as Topsoil for Restoring Paddy Fields heavily damaged by Coal Mine. WATANABE Toshiro and Masatomo TOYODA (Fukuoka Agricultural Research Center, Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent.,17: 27 - 31 (1998)
[Key word : paddy fields heavily damaged by coal mine, acid sulfate soil, sulfide, rice, wheat]
1)前鉱害試験地