福岡県農業総合試験場研究報告17(1998) pp 1 - 8
水稲新品種‘つくし早生’の育成
浜地勇次1)・今林惣一郎・大里久美・西山 壽2)・吉野 稔・川村富輝・松江勇次
(農産研究所)
[摘要]つくし早生’は福岡県農業総合試験場において、早生、強稈、良食味品種の育成を目標として、早生、良食味品種の‘農林22号’と、極早生、強稈、良食味品種の‘キヌヒカリ’を1988年に交配した組合せから育成された。‘つくし早生’の特性として、出穂期及び成熟期は‘日本晴’よりやや遅く、福岡県の熟期区分では“早生’’、種苗特性分類の暖地では“早生の晩”に属し、短稈で、草型は‘‘中間型’’の粳種である。耐倒伏性は“強”、穂発芽性は‘‘易”である。いもち病抵抗性遺伝子型は“Pi−1”をもつと推定され、圃場抵抗性は葉いもち、穂いもちともに“やや弱”、白葉枯病にも“やや弱”である。収量性は‘日本晴’、‘黄金晴’よりやや優れる。玄米の外観品質は‘日本晴’よりやや優れ、“中の上’’である。炊飯米は外観が良く、粘りがあり、食味総合評価は‘日本晴’より明らかに優れ、‘コシヒカリ’と同程度の“上の中”である。‘つくし早生’は早生で、収量性が優れた良食味品種として、暖地のいもち病常発地帯を除いた山ろく地から平坦地に適すると考えられ、1995年11月に種苗法による品種登録出願がなされ、1996年2月に福岡県で準奨励品種に採用された。
[キーワード:育種、収量性、食味、水稲、早生]
A New Rice Cultivar 'TSUKUSHIWASE'. HAMACHI Yuji, Souichirou IMABAYASHI, Kumi F. OOSATO, Hisashi NISHIYAMA, Minoru YOSHINO, Yoshiteru KAWAMURA and Yuji MATSUE (Fukuoka Agricultural Research Center, Chikushino, Fukuoka 818-8549, Japan) Bull. Fukuoka Agric. Res. Cent.,17: 1 - 8 (1998)
[Key word : breeding, early-maturing, high palatability, rice, yield ability]
1)現豊前分場、 2)前農産研究所