福岡県農業総合試験場研究報告14（1995）　pp 154 - 158

カンキツのウイルス耐病性の比較
第１報　カンキツ苗木のウイルス耐病性と台木間差異

下村克己・平島敬太・野口保弘・草野成夫

　各種カンキツウイルス及びウイロイドが，カンキツ実生台木及び苗木の生育に及ぼす影響とその病徴発現程度を検討した。実生台木の生育に対するウイルスの影響は，供試した１１種の品種・系統の中では‘ラフレモン’が最も小さく，他の実生台木の生育に対して影響の大きかった温州萎縮ウイルスの影響も認められなかった。しかし，耐寒性が弱い点で，台木としての利用は検討の必要がある。‘山川早生’の生育は，ウイルスフリー区においては‘シィクワシャー，台が最も良かったが，温州萎縮ウイルスを保毒すると舟形葉の発生や枝の叢生が多く認められた。また，生育に対する影響も‘カラタチ’台や‘ヒリュウ’台よりも大きかった。‘清見’では，‘カラタチ’台，‘ヒリュウ’台に比較して，‘シィクワシャー，台の生育が良好であった。また，‘シィクワシャー，台‘清見’では，カンキツトリステザウイルスによる病徴発現程度も軽度であった。そのため，‘清見’には，‘シィクワシャー，を台木として利用することにより，ウイルスの影響をより低く抑え，かつ良好な生育が確保されると考えられた。

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