あゆみ
福岡県農林業総合試験場のおいたち
福岡県の農業に関する試験研究は、全国にさきがけて、明治12年(1879年)7月、当時の那珂郡春吉村(現在の福岡市博多区東中洲)に勧業試験場が設立されたときに始まる。その後140年以上にわたって県農業振興のための技術開発を行ってきた。勧業試験場をはじめとする旧試験場の沿革は次のとおりである。
旧試験場の沿革
旧勧業試験場 (農事試験場、農業試験場)
- 明治12年
- 那珂郡春吉村(現福岡市博多区東中洲)に勧業試験場として設立。
- 明治28年
- 福岡県立農事試験場と改称。
- 明治39年
- 筑紫郡住吉村(現福岡市博多区住吉)に移転。
- 大正12年
- 京都郡泉村(現行橋市泉)に豊前園芸分場設置。
- 昭和 2年
- 八女郡羽犬塚町(現筑後市和泉)に筑後分場設置。
- 昭和14年
- 筑紫郡二日市町(現筑紫野市上古賀)に移転。
- 昭和24年
- 福岡県立農業試験場と改称。
- 昭和25年
- 筑後分場廃止。
- 昭和31年
- 三瀦郡大木町に筑後分場再設置。同時にイ業指導所を編入。
- 昭和32年
- 福岡市花畑(現福岡市南区花畑)に園芸分場、鞍手郡鞍手町に鉱害試験地設置。
- 昭和33年
- 八女郡黒木町に茶業指導所設置。
- 昭和56年
- 筑紫野市吉木に移転。
旧園芸試験場
- 昭和40年
- 福岡県立農業試験場園芸分場から、園芸試験場として独立。同時に果樹指導所を編入。
- 昭和55年
- 筑紫野市阿志岐に移転。
旧畜産試験場
- 昭和12年
- 三井郡三国村(現小郡市三沢)に仮事務所設置。
- 昭和19年
- 畜産技術員養成所併設。
- 昭和35年
- 試験研究機関に指定。
- 昭和53年
- 筑紫野市吉木に移転。
旧種鶏場
- 昭和 3年
- 農事試験場内に仮事務所設置。
- 昭和 4年
- 筑紫郡大宰府町(現太宰府市五条)に移転。
- 昭和35年
- 試験研究機関に指定。
- 昭和54年
- 筑紫野市吉木に移転。
旧森林林業技術センターの沿革
- 昭和13年1月
- 八女郡黒木町に「林業試験場」の設置を決定
- 昭和14年1月
- 昭和開場。庶務部・造林部・利用加工部の3部制
- 昭和29年4月
- 庶務課・造林課・利用課の3課制へ移行
- 昭和30年4月
- 小倉市大字横代(現北九州市小倉南区)に「小倉分園」を開園
- 昭和33年4月
- 小倉分園を「小倉分場」と改称、本場と分立
- 昭和38年4月
- 北九州市発足。小倉分場は「北九州分場」に改称
- 昭和47年6月
- 北九州分場を閉鎖
- 平成 2年1月
- 久留米市への移転決定
- 平成 6年8月
- 林業試験場を閉鎖
- 平成 6年9月
- 久留米市に「森林林業技術センター」と改称して開所。2部5課制
- 平成26年4月
- 農業総合試験場・森林林業技術センター・病害虫防除所が合併し、「農林業総合試験場」となる。久留米市に「農林業総合試験場資源活用研究センター」の設置。5部制
このように農業関係の試験研究を農業試験場、園芸試験場、種畜場、種鶏場および森林林業技術センターの5場でそれぞれ独立・分散して行い専門的な成果をあげてきたが、地域農業の総合的な発展を図るための試験研究の強化を目的に、昭和56年(1981年)6月にこのうちの4場を統合して新たに農業総合試験場を設立した。
農林業総合試験場の沿革
- 昭和56年
- 筑紫野市吉木、阿志岐に農業総合試験場設立。
- 昭和62年
- 果樹母木園を廃止し、果樹苗木分場として編入。
- 平成 元年
- 企画調整室を企画経営部に改組。経営環境研究所を生産環境研究所に改称。生物工学研究室、微生物利用研究室、水稲育種研究室を設置。
- 平成 2年
- 茶業指導所を八女分場に改称。
- 平成14年
- 鉱害試験地を廃止。
- 平成15年
- 生産環境、農産、園芸、畜産の4研究所を廃止し部制を導入。「研究室」を廃止し「チーム制」を導入。
- 平成26年
- 森林林業技術センター、病害虫防除所との組織編成により農林業総合試験場に改称し、資源活用研究センターを新設。農林業総合試験場本場に生産環境部(バイテクチーム・環境保全チーム)を新設し、病害虫防除所は病害虫部予察課設置。家畜部と畜産環境部は畜産部として統合。森林林業技術センターの企画管理部が総務・普及部と改称。研究部を森林林業部に改組し、バイオマス部を新設。食品流通部は流通・加工部として、果樹苗木分場と花き部は苗木・花き部として、資源活用研究センターに編入。
- 令和 4年
- 生産環境部を廃止し機能を農産部、野菜部、畜産部へ移転。流通・加工部は加工部門を廃止し、流通技術部へ改称。
農林業総合試験場本場は太宰府政庁の史跡に近く、筑紫野市吉木、阿志岐にまたがる約150haの敷地に位置している。本場には管理部、企画部、生産環境部、病害虫部(病害虫防除所)、農産部、野菜部、果樹部、家畜部の8部、久留米市に資源活用研究センターを設置した。さらに県内農業の地域性と特定作目に対応するために3分場(豊前、筑後、八女)を設けている。 なお、本場構内には農業大学校、福岡県農業協同組合中央会教育センターもあり、福岡県における農業の研究と教育の拠点となっている。