ヒノキ球果に形成される口針鞘数を利用した
果樹カメムシ飛来時期の新しい予測法
生産環境研究所
1 背景、目的
チャバネアオカメムシなどの果樹カメムシ類は、主にヒノキやスギの球果 (実)の種子を餌として繁殖します。この種子を食べ尽くして餌がなくなる と、餌を求めて果樹園に飛んできて果物に被害を与えます。被害を防ぐため には、カメムシが果樹園へ飛んでくる時期を予測することが重要です。
そこで、カメムシが果樹園に飛んでくる時期を予想できる、新しい予測法 を開発しました。
2 成果の概要、特徴
1)果樹カメムシは、ヒノキ球果(写真1)に針状の口を差し込み、種子の汁を吸います。汁を吸った後には、唾液が固まった白い針状の鞘(口針鞘)ができます(写真2)。この球果の口針鞘数を調べれば、生息地内のカメムシの餌の残量が推定できます。
2)カメムシの新しい成虫が増加する8月中旬から10月下旬まで1個当たりのヒノキ球果の口針鞘数が25本を超えない場合は、餌が十分にあると推定されるので、カメムシはヒノキから離脱しません(図1)。しかし、25本を超えるとカメムシはヒノキから離脱し(図2)、果樹園へ飛んできます。
3)7月下旬の口針鞘数を調査すれば、図3の関係式により、調査日からおおよそ何日後に平均口針鞘数が25本に達するかがわかり、果樹園へカメムシが飛んでくる時期を予測できます。
3 主要なデータなど