キク「秀芳の力」のプロトプラストからの
植物体の効率的な再分化法
生産環境研究所
1 背景、目的
短い期間で効率的に作物の新品種を育成するには、プロトプラスト(細胞壁を取り除 いた裸の細胞)の段階で、遺伝子導入や変異を起こさせることが必要です。しかし、従 来の培養方法では、プロトプラストが植物体にまで再生する割合が低いため、遺伝子導 入や変異を起こした植物体が得られない場合も多く、プロトプラストを効率良く植物体 に再生させることが重要な課題となっています。
そこで、キク「秀芳の力」のプロトプラストを用いて、効率的に植物体を得るための 培養技術を確立しました。
2 成果の概要、特徴
1)キク「秀芳の力」のプロトプラストを、ショ糖濃度を0.4MとしたNN67培地で培養しながら、7日毎にショ糖濃度を0.1Mずつ低下させたNN67培地を1ml追加すると、プロトプラストの分裂が促進します。
2)プロトプラストから64細胞以上に分裂した細胞塊を、BA 2mg/lとNAA 0.5mg/lを加したMS寒天培地に置床して培養すると、約30日でプロトプラストの細胞塊の約53%がカルスを形成します。
3)このカルスをBA 2mg/lとGA30.2mg/lを添加したMS寒天培地に移植すると、約4か月後に約27%が植物体に再分化し、再分化率は従来の方法の2倍以上に向上し、効率的に植物体を得ることができます。
3 主要なデータなど