夏秋ギクの無摘心栽培による施設の高度利用体系
 
園芸研究所
 
1 背景、目的
 夏秋ギクの電照栽培では、苗を植えた後に先端の芽を摘んで脇芽を伸ばし、1株から2〜3本の切り花を採る摘心栽培が行われてきました。摘心栽培では、苗の数は少なくて済みますが、脇芽が伸びるのに時間がかかって栽培期間が長くなり、施設の利用性が低下しますので、生産本数や収益を低下させずに栽培期間を短縮する技術の確立が課題となっています。
 そこで、夏秋ギク「精雲」を使って、栽培期間を短縮するキクの無摘心による栽培技術を確立し、その技術を利用した施設の利用体系や収益性、労働時間について明らかにしました。
 
2 成果の概要、特徴
 
 1)夏秋ギク「精雲」の電照無摘心栽培では、5月中旬に定植し、6月中旬に消灯すれば、切り花長 100cm以上で花弁のねじれの少ない品質の良い切り花が8月上旬に収穫できます。
 
 2)無摘心栽培では、苗の摘心処理をしないため、摘心栽培に比べて栽培期間が2週間短縮できます。
 
 3)8月に出荷する夏秋ギク「精雲」を無摘心栽培し、12月および4月に二度出荷する「秀芳の力」の栽培と組み合わせると、摘心栽培ではできなかった同じ施設で年間3回の収穫ができるようになります。
 
 4)無摘心栽培では、種苗費等が摘心栽培よりも多くかかりますが、出荷本数の増加と、品質が向上して平均単価が上がるため、10a当たりの所得は約25万円増加します。
 
 5)無摘心栽培では、摘心栽培と比較して、本数が多くなるので、育苗から定植にかかる労働時間は長くなりますが、摘心・整枝作業が不要なので、全体の労働時間は同じ程度となります。
 
3 主要なデータなど