大麦に含まれる酵素を利用した食品中のシュウ酸除去法
生産環境研究所
1 背景、目的
近年、ウーロン茶や野菜ジュース等は健康飲料として注目されていますが、これらの飲料にはシュウ酸が含まれているものがあります。シュウ酸は飲食物として体内に取り入れられた後、シュウ酸カルシウムの沈殿物に代わり、健康に必要なカルシウムの吸収を阻害したり、腎臓結石の原因になるといわれています。そこで、シュウ酸を含まない健康によい食品を製造するために、大麦の根に含まれる酵素を利用して、これら飲料中に含まれているシュウ酸を除去する方法を開発しました。
2 成果の概要、特徴
1)シュウ酸オキシダーゼという酵素を含んだ乾燥した大麦の根を、そのまま使うことにより、精製した高価な酵素を使うことなく食品中のシュウ酸を低コストで分解し、シュウ酸を含まない健康に良い食品を製造することができます。
2)乾燥した大麦の根1gに含まれるシュウ酸オキシダーゼは、1,000m1のシュウ酸溶液に含まれている380rのシュウ酸を3時間程で分解する力があります、
3)乾燥した大麦の根に含まれるシュウ酸オキシダーゼの活性は、温度は55℃前後、pHは3.5前後で最も高くなります。また、活性は温度が60℃まで、pHが3.0〜7.0の間で安定しています、
4)乾燥した大麦の根は、3,4回使用するとシュウ酸オキシダーゼの活性は次第に低下し、1回目の約50%になります。
このシュウ酸除去法は、現在、特許出願中です。
3 主要なデータなど