病気に強く、ビール造りに適した
二条大麦新品種「九州二条12号」を育成
農産研究所
1 背景、目的
現在作付けされているビール大麦品種「あまぎ二条」と「アサカゴールド」は、天候不順の年には凸腹粒等の被害粒が発生しやすく、検査合格率が低下します。
そこで、被害粒の発生が少なく、これまでのビール大麦品種と比べて早く収穫でき、醸造適性に優れ、病気に強い、多収などの特性を持っ新しいビール大麦品種を、半数体育種法により日本で初めて育成しました。
2 成果の概要、特徴
「九州二条12号」は、「吉系19」を母、「関東二条25号」を父として昭和62年4月に交配し、同年12月に温室内で出穂させた雑種第1代に対して、野生大麦のHordeum bulbosumを交配する半数体育種法により育成しました。本品種は、平成10年に準奨励品種に採用され、同年秋播きから工場規模での醸造試験のための試作栽培を行った後、一般栽培を予定しています。
「九州二条12号」は「あまぎ二条」と比較して次のような特徴をもっています。
1)出穂期は3日、成熟期は4日早い。
2)稈長は同程度で、穂数は多い。
3)倒伏にはやや強く、穂発芽性はやや難である。
4)大麦縞萎縮病とうどんこ病に強い。
5)整粒歩合が高く、多収で、検査等級が優れる。
6)側面裂皮粒は「微」程度発生するが、凸腹粒の発生はほとんどない。
7)醸造適性は麦芽エキスとコールバッハ数が特に高く、総合評点が極めて優れる。
3 主要なデータなど