温州ミカンは糖度が高いほど品質が良いとされ、価格も高いため、糖度を高める栽培方法が種々試みられています。その一つとして、植え付け床を高くして土壌の排水を促し、マルチングによって降雨時の浸水を遮断する、高うねマルチ栽培が普及し始めています。しかし、マルチング資材に黒色ポリエチレンフィルムを用いた場合、土壌の乾燥が進みにくく、果実の品質があまリ良くなりません。そこで、温州ミカンの高うねマルチ栽培で、マルチング資材に白色透湿性シートを用いて高品質な果実を生産するための栽培方法を確立しました。
1)被覆資材に白色透湿性シートを用いると、黒色ポリエチレンフィルムを用いた場合より、土壌が乾燥し、樹が水分ストレス状態になります。
2)透湿性シートは太陽の光を散乱するため、果実への光の供給が多くなり、果実の色つきが早くなります。また、樹の下に敷いたシートからの散乱光で、樹冠の内部まで光が入り、樹全体の着色も揃 います。
3)収穫期の果実は、酸味がやや高くなるものの、果皮の色が濃く、糖度も高くなり、昧が濃い品質の優れたものになリます。
表 1 果実肥大及び果実品質
注) 供試品種は山下紅早生、被覆方法:黒色ポリエチレンフィルムを7月まで被覆し、その後は
透湿性シート(タイベック)に交換。 果皮色:カラーチャート(農林水産省果樹試験城編)
浮皮は0(無)〜3(甚)
写真 1 透湿性シートで被覆した高畦マルチ栽培