電照ギク「秀芳のカ」の12〜4月出し栽培で、発蕾後の花首が曲がったり(花首曲がり症)、頂花と側花の花首がゆ着し、ゆ着した方向に花首が曲がる障害(ゆ着症)が発生し、問題となっています。花首の曲がった切り花は商品価値がないため、出荷できなくなることから、早急な対策が求められています。そこで、花首曲がりや、ゆ着症の発生要因を明らかにし、温度管理や施肥方法などによる防止方法を確立しました。
1)花首曲がり症や、ゆ着症になったキク花首の内部形態の観察結果から、これらの症状は、電照打 ち切り2〜3週間後の花首形成期において、維管束組織の正常な形成と発達とが阻害されたことに よって発生することが明らかになりました。
2)電照打ち切り後から最低3週間、夜間最低気温を15〜20℃で管理することにより、花首曲がり症 の発生を軽減できます。12.5℃以下では花芽の発達が悪くなり、花首曲がりやゆ着症の発生が 増加します。
3)追肥の施用量が多いほど花音曲がり症や、ゆ渚症の発生が増加することから、電照打ち切り後か ら約3週間目までの肥効をできる限り抑えるように管理します。
写真 1 キクの花首曲がり及びゆ着症の内部形態
A:花首曲がりの症状 B:花首曲がりの縦断面
C:消灯3週間後における頂芽と第1腋芽の花首のゆ着
表 1 「秀芳の力」の消灯後の栽培温度と花首曲がり症とゆ着症
注) 10月18日定植、11月8日消灯、12月26日調査。
昼温:7:00〜19:00、夜温:19:00〜7:00。
不開花は高所ロゼットによる。
花首曲がり症茎率は、15度以上の曲がりを生じた茎の
発生割合で示す。表2も同じ。
表 2 「秀芳の力」の追肥の施用時期と花首曲がり症とゆ着症
注) 10月25日定植、12月12日消灯。
追肥はOKF−1の500倍液 約9L/uを2日おきに5回施用。
夜間最低気温14度で栽培。