新しい栽培技術の高軒高ハウスでのハイワイヤー栽培がトマト、キュウリ等の施設果菜類において期待されています。この栽培法では高所作業用の台車が必要ですが、既存の動力台車では主枝の吊り降ろしやホルモン処理等の栽培管理に手間がかかり、無理な作業姿勢による労働負担が大きいのが実状です。
そこで、高所での管理作業が容易にできる簡易高所作業車(写真1)を開発し、トマトの主枝吊り降ろし作業における作業能率および労働負担軽減効果について明らかにしました。
1)開発した高所作業車は簡易に製作できます。既製の台車にレール走行用の戸車、プーリー、Vベ ルト、回転軸及び高さ調節ができる手動ハンドルを取り付け、人が乗る作業台は踏み板の高さを任 意に設定できるようにラック用部品を取り付けています。
2)高所作業車は、丸パイプとビニペットから成るレール上を手動で容易に移動でき、作業位置に含わ せて高さ調節が可能なため、ハイワイヤー栽培での高所でも管理作業を楽に、且つ安全に行うことが できる。
3)高所作業車利用により、作業時間は、慣行の高下駄履き作業に比べ32%短縮でき、心拍数増加 率は1.4%低下します(5%レベルで有意差あり)。また、作業姿勢の改菩とともに首や肩の痛みが 解消され、節電位から見た肩の筋負担は左右ともに57%程度軽減できます。
写真 1 簡易高所作業車の外観
図2 簡易高所作業車によるトマトの主枝吊り降ろし作業
表 1 高所作業車利用による作業能率と作業負担軽減率
注)1997年5月15日、浮羽町のフェンローハウス内ロックウールトマト(株間20cm)で調査
被験者:男性、43歳、身長170cm、肩の高さ144cm、トマトの栽培経験年数15年
作業法法:慣行は左手でトマトの主枝を抱え上げグリップを使って誘引紐に固定。
作業車利用では左手でトマトの主枝を抱え上げ誘引紐に巻き付けて固定。