水稲品種「ほほえみ」は早生の良食味品種で、いもち病には’’中”程度の抵抗性があることから、平成7年に福岡県の準奨励品種に採用されました。今後、山ろく地から山間地に適した品種として、作付面積の増加が期待されています。そこで、「ほほえみ」を安定して生産するための、移植期、施肥法及び収穫期の判定方法などを明らかにしました。
1)平坦地では籾数が過剰になりすぎ、登熟歩合が低くなり、収量、外観品質が低下しますので、山ろく地から山間地に適しています。
2)移植期は6月5日前後が適期です。5月20日移植では外観品質がやや低下します。6月20日移植では登熟歩合が低下するため減収します。
3)籾数が過剰になると、登熱歩合の低下や乳白米の発生等によって外観品質の低下を招きます。このため、目標籾数は3万〜3.2万粒/粒です。この目標籾数を確保 するために必要な基肥量は「ミネアサヒ」と同程度の4〜6s/10aで、「日本晴」より1s/10a程度少なくする必要があります。穂肥量は「日本晴」と同程度の3〜3.5 s/10aです。
4)収量及び外観品質を低下させないための収穫時期の範囲は成熟期前3日〜成熟期後4日後で、出穂後33〜40日、籾水分が24〜28%、収穫早限期の黄褐色籾数 の比率が70%を目安とします。このため、収穫適期の範囲は「日本晴」よりやや狭くなります。
表 1 「ほほえみ」の移植時期と収量、品質および食味評価
注)現地は京都郡犀川町下伊良原(標高250m)、他は福岡県農業総合試験場豊前分場(標高10m)の平成7,8年度の平均値、なお()は平成8年度
外観品質は1(上上)〜6(中下)
食味評価は「コシヒカリ」を基準値とし、プラス値が大きいほど食味が優れる。
表 2 「ほほえみ」の基肥量と収量、品質
注)表1を参照。穂肥量:2+1.5kg/10a