低コストでできるインスタント緑茶の新しい製造法
八女分場
1 背景・目的
緑茶は日本人にとっては日常的に飲用するものですが、急須が必要なことや茶殻の処理が面倒なことから、特に若年層を中心に敬遠される傾向にあり、手軽に飲用できる茶の開発が望まれています。しかし、今までのインスタント緑茶は、その製造に非常に多くの工程を必要とするために製品が高価なものになることや、品質の劣る原料を用いるためにおいしくないなどの問題があり、市場にほとんど流通していませんでした。
そこで、製造工程を大幅に少なくして、低コストでインスタント緑茶を製造できる方法を開発しました。
2 成果の概要・特徴
1)茶生葉を蒸した後、搾汁して蒸葉搾汁液を得ます。この蒸葉搾汁液を乾燥して得られた粉末を加熱することによって、青臭みがなく、芳ばしい香りのインスタント緑茶が製造できます。
2)この製造法は製茶工程を必要としないので、製造工程における加熱に必要な熱量は、従来法の3分の1程度で済みます。
3)製品は、旨味の指標となる全窒素含量が従来法よりも高く、苦味・渋味を示すタンニン及びカフェイン含量が少ないまろやかな味になります。さらに、茶由来のアスコルビン酸(ビタミンC)の含量も多く保持されています。
3 主要なデータなど
第1図 新製法による製造工程及び加熱に要する熱量 第2図 従来法による製造工程及び加熱に要する熱量
表1 新製法と従来法によるインスタント緑茶の化学成分含量(mg/100g可溶分)
写真1 新製造法によるインスタント 写真2 インスタント緑茶で入れたお茶
緑茶(粉末)