包装フィルムを利用した夕方収穫ナスの簡易な鮮度保持法

生産環境研究所


1 背景、目的

 現在、福岡県産の冬春ナスは早朝のみ収穫され、集荷・選別作業を経てその日のうちに出荷されています。このため農家や選果場ではごく限られた時間帯に労働が集中し、これが規模拡大の妨げとなっています。この対策として、夕方などの早朝以外の時間帯にも収穫する方法が有効であると考えられますが、このような果実は収穫時の品温が高いために、現状の出荷方法では鮮度が低下することが懸念されます。 
 そこで、プラスチックフィルムでナス果実を包装し蒸散を抑制することによって、夕方にも収穫が可能な鮮度保持技術を確立しました。


2 成果の概要、特徴

1) 雰囲気湿度を高く保つことによって、ナス果実の蒸散量は効果的に抑制することができます。蒸散を抑制することができれば、ナス果実の表面の光沢や果実硬度は維持され、鮮度は高く保たれます。 

2) 夕方収穫する場合、ナス果実はポリエチレンフィルム(PE)を内装したコンテナに入れ上部をハンカチ折り包装し、出荷作業時まで室温に保存します。 

3) また出荷は、選果場の能力に応じて下記の方法で行います。  
ア) ポリエチレンフィルムを内装した普通段ボール容器に詰める。  
イ) 有孔ポリプロピレンフィルム(OPP)に個包装した後に普通段ボール容器に詰める。   
これらの方法で出荷するとナス果実の蒸散を抑制することができ、早朝収穫し、プリメラ紙を内装した普通段ボール容器(PM)で出荷する従来の方法より鮮度を著しく高く保つことができます。 

4) 現地では、ナス果実をポリエチレンフィルム、有孔ポリプロピレンフィルムで出荷できる選果場が新しく建設されました。この技術は近い将来、普及していくものと思われます。


3 主要なデータなど


   図1 収穫時刻及び出荷資材がナス果実の総合鮮度に及ぼす影響
    注)総合鮮度の指標は、4:収穫時の状態、3:市場出荷可能、
      2:小売り可能、1:食べられる、0:食べられないとした。



  写真1 ポリエチレンフィルム内装普通段ボール容器