ラップサイレージ調製・貯蔵の技術マニュアルの作成
畜産研究所
1 背景、目的
乳牛及び肉牛農家において、粗飼料生産の省力化・効率化に有効な技術としてラップサイレージ調製・貯蔵技術が普及してきています。しかし、ラップサイレージは調製・貯蔵条件の違いにより品質が不安定となりやすく、基本粗飼料としての安定給与の支障となっています。
このため、品質が不安定となる原因を明らかにするとともに、品質が安定したラップ サイレージを調製・貯蔵するための技術マニュアルを作成しました。
2 成果の概要、特徴
1) ラップサイレージの発酵品質は、材料草の水分含有率の影響を受けやすく、調製時の水分含有率を40〜60%に予乾して調製することで、発酵品質が良く長期貯蔵可能なサイレージが調製できます。
2) 60%以上の高水分で調製してしまった場合は、品質が低下しやすいので、できるだけ早く(イタリアンライグラス
3カ月以内、スーダングラス 1カ月以内)給与します。
3) 夏期に長期貯蔵する場合、ストレッチフィルムは白色を使用します。また、貯蔵中はサイロ上部に遮光シートを掛けると直射日光による品質の劣化を防止することができます。
4) ラップサイレージは近赤外分析計で飼料成分を迅速に評価することが可能で、その分析結果を給与設計に利用できます。
5) このマニュアルは、西南暖地におけるラップサイレージ調製貯蔵のための技術資料として活用することができます。
3 主要なデータなど
表1 ラップサイレージ品質安定化のための技術マニュアルの主な内容
写真1 ラップサイレージの調製