楽な姿勢でイチゴ作りができる高設栽培方式の開発

園芸研究所

1 背景、目的

 イチゴは草丈が低いため、下葉除去や玉だし作業などの本圃管理や収穫作業は、中腰やしゃがんだ姿勢での作業が多く、長時間にわたる窮屈な姿勢を強いられています。
 高設栽培方式は、栽培位置が腰の高さにあり、腰を伸ばした楽な姿勢で作業できますが、既存の方式は資材費が高いことや栽培が安定しないために普及していません。
 そこで、設置費用が安価で、土耕栽培と同様の肥培管理のもとでも生育が安定する、筒状栽培容器と高畝を用いた新しい高設栽培方式を開発しました。


2 成果の概要、特徴

1)本高設栽培方式では、畝の高さと筒状栽培容器の長さを組み合わせることで、作業しやすい栽培床の高さを任意に設定できます。

2)イチゴの生育中期以降には根が本圃の畦内に伸張し、そこから吸肥、吸水するので、一種の土耕栽培状態となり、生育が安定します。

3)フィルムで覆われた空間を暖房することにより、安い暖房費で根部や果実の温度を確保できます。 

4)本高設栽培方式は簡単な資材で容易に設置でき、要する資材費は養液栽培方式に比べてほぼ1/5と大幅に安くなります。また、生産者だけで簡単に設置することができます。


3 主要なデータなど


   写真1 イチゴ地上部の生育状況       写真2 イチゴ根部の生育状況  


  表1 設置に要する資材費(本圃10a当たりの試算)

合計  
  内成り方式 821,960  163,920円/年
  外成り方式  737,960 153,770円/年