肉質が良く育てやすい新しい肉用鶏の作出
畜産研究所
1 背景,目的
最近の肉用鶏市場では,ブロイラー,地どりがその地位を確立しています。ブロイラーは柔らかい肉質を持ち,飼育日数が短いため安価であるという特徴を持っています。一方,当研究所で作出した「はかた地どり」は,歯ごたえのある肉質を持ち,食味に優れるため,「水炊き」,「筑前煮」等の和風料理の素材用としてテーブルミートを中心に消費を伸ばしてきましたが,飼育日数が長いため価格が高くなる傾向にあります。
そこで,両者の特徴を生かして,ブロイラーに近い飼育日数で食味に優れる新しい肉用鶏として(BP×WR)×WRを作出し,実用的に飼育するための飼育管理及び生産基準策定に必要な飼育日齢,増体量及び肉質の特徴等について明らかにしました。
2 成果の概要,特徴
新しい肉用鶏は,雄親に横斑プリマスロック(BP)とホワイトロック(WR)
の交配鶏,雌親にWRを用いており,BPは当畜産研究所で保有する系統,WRは兵庫家畜改良センター保有の系統です。BPは良食味,WRは増体性,飼料効率に優れる特徴を持ち,両者の特徴を兼ね備えています。
1) 羽色は雌雄ともに白色で黒色の刺し毛が入っています。
2) 63日齢時の育成率は99%と優れており,強健性を備えています。
3) 雄の増体の伸びは雌に比較して早く,雄の生体重が 3.3kg,雌が 2.5kg程度となる63日齢程度が,出荷日齢として適しています。
4)飼料要求率は56日齢で出荷するブロイラーと比較するとやや劣りますが,63日齢時の雌雄平均で2.35と優れています。
5)肉質はブロイラーに比べて歯ごたえがあり,食味に優れています。
3 主要なデータなど
表1 新しい肉用鶏の発育特性
注)@(BP×WR)×WR給与飼料:0〜21日齢 ME:3.08Mcal/kg,CP22%,22〜56日齢
ME:3.17Mcal/kg,CP18%, 57日齢以降 ME:3.1Mcal/kg,CP18%(ME:代謝エ
ネルギー値、CP:粗タンパク含量)
Aブロイラー給与飼料:0〜21日齢 ME:3.08Mcal/kg,CP22%,22〜49日齢
ME:3.17Mcal /kg,CP18%, 50日齢以降 ME:3.0Mcal/kg,CP18%
B試験時期:(BPXWR)XWR 9〜11月,ブロイラー 5〜 6月
表2 官能検査による新しい肉用鶏と市販ブロイラーの比較(n=32)
注)@ *:5%の危険率で有意差あり,**:1%の危険率で有意差あり
図1 新しい肉用鶏の交配様式