小ぶりでおいしいイチジク新品種候補「HC−61」の育成

豊前分場


1 背景、目的

 近年、イチジクは健康果実として消費者の人気が高まり、栽培面積が増加しています。本県の基幹品種である「蓬莱柿」及び「桝井ド−フィン」は、果実が大きく収量も多い豊産性の品種ですが、肉質が粗いなどの欠点もかかえています。
 そこで、これらの欠点を改良して、より糖度が高く、肉質の優れた高品質なイチジクの新品種候補「HC−61」を育成しました。


2 成果の概要、特徴

 「HC−61」は、平成元年に「蓬莱柿」を母、「カプリフィッグ6085」を父として交配した組み合わせから育成した良食味系統です。
 「HC−61」の特性は以下のとおりです。

1)収穫始めは「桝井ド−フィン」と「蓬莱柿」の中間にあたる 8月20日頃です。 

2)樹勢は中程度で、疫病に対する抵抗性は「蓬莱柿」と同程度です。   

3)果実は円形、果皮は赤紫色で、果頂部が裂開しにくく、最大果は 80g以上になりますが、平均果重は 40g程度です。    

4)糖度は18度程度と極めて高く、肉質が緻密で食味が優れています。

「HC−61」は、良食味な本県ブランド品種として普及が期待されます。


3 主要なデ−タなど

     表1 「HC−61」の主な特性



        蓬莱柿          HC−61
        写真1 「HC−61」の果実