中山間地向に適した早生水稲新品種「ちくし23号」の育成
農産研究所
1 背景、目的
中山間地は、いもち病が発生しやすい環境条件にあるため、いもち病抵抗性がやや強い極早生水稲品種「ハヤユタカ」が栽培されています。しかし、「ハヤユタカ」は食味 が不十分であるため、いもち病抵抗性が強く、極早生の良食味水稲品種の育成が望まれ ています。
そこで、「コシヒカリ」と同程度においしく、いもち病に抵抗性を持つ、中山間地に適した極早生良食味品種を育成しました。
2 成果の概要、特徴
「ちくし23号」は、平成2年に福岡県農業総合試験場で、「初星」を母、「西南89号 (なつのたより)」を父とした組合せから育成し、両親の長所をあわせもった有望品種です。
「ちくし23号」の特性は「ハヤユタカ」と比較して以下のとおりです。
1) 出穂期および成熟期は2〜3日早く、「コシヒカリ」より10日程度早い極早生種。
2) 稈長は同程度、穂長はやや短く、穂数はやや多い穂数型。
3) 葉色は同程度、倒伏はやや弱い。
4) 穂発芽はややしにくく、いもち病にはやや弱いが白葉枯病抵抗性は同程度。
5) 収量性は同程度かやや劣る。千粒重はやや重く、玄米の外観品質はやや優れる。
6) 食味は明らかに優れ、「コシヒカリ」と同程度の良食味品種。
「ちくし23号」は福岡県内の中山間地の「ハヤユタカ」に替えて普及を図る予定です。
3 主要なデ−タなど
表1「ちくし23」号の生育特性
注) 数値は平成6〜8年農産研究所の
早期栽培の平均値。
移植期:4月20日〜25日。
写真1 「ちくし23号と比較品種」
表2 「ちくし23号」の耐病性、収量性、検査等級および食味評価
注)@数値は平成6〜8年農産研究所の早期栽培の平均値。
A検査等級:1等の上〜3等の下の9段階。
B食味評価はコシヒカリを基準。