良質牛肉生産のための専管ふすまの給与法
畜産研究所
1 背景、目的
産地育成が進められている県産ブランド牛肉「福岡牛」は、良質牛肉の指標とされる歩留肉質等級「B3」以上がその認定対象となっています。
交雑種去勢牛は、乳用種去勢牛に比べて優れた牛肉を生産できますが、より品質の高い良質牛肉生産が求められています。そこで、肉質に大きく影響を及ぼすとされる肥育後期において、専管ふすまを活用した飼料給与方法を明らかにしました。
2 成果の概要、特徴
専管ふすまを20%含む濃厚飼料を14から25カ月齢までの肥育後期に給与すると、飼料摂取量が多くなり、可消化養分総量(TDN)の摂取も増加し、ロース芯面積が大きく、バラ厚が厚く、脂肪交雑(BMSNo)の優れた良質牛肉が生産されます。
1)肥育後期飼料は、濃厚飼料と粗飼料を混合して給与します。混合割合は稲ワラ8%、ヘイキューブ5%、濃厚飼料87%とします。また、肥育前期飼料からの切り替えは、4週間かけて徐々に行います。
2)専管ふすまの給与により、体内で合成される脂質を末梢組織に運ぶとされる密度の低いリポ蛋白成分は増加し、体脂肪の蓄積が進みます。しかし、第一胃粘膜に炎症が起こるので、専管ふすまの給与割合は20%程度に抑えます。
3.主要なデータなど
表1 濃厚飼料の原料構成及び飼養成績
注)@飼料は混合飼料として給与し、粗飼料は前期、稲ワラ7.5%、ヘイキューブ7.5%、
後期、稲ワラ8%、ヘイキューブ5%
A第1胃絨毛の色のスコアは、1:黒色〜褐色、2灰色、3:薄灰色のピンク。
B小麦からふすまへの製品歩留は、一般ふすま25%、専管フスマ50%
0%区 20%区
写真1 専管ふすまの混合割合と枝肉断面