早期水稲後地を利用した飼料作物の栽培法
畜産研究所
1 背景、目的
早期水稲の作付けが定着していますが、その後地の利用可能な期間は、8月下句から翌年4月上句までであるため、水田裏作物である麦の作付けはできず、利用されていない場合が多くあります。一方、飼料件物の栽培期間は短く、早期水稲の裏作期間でも栽培することができます。
そこで、早期水稲後地を利用した飼料作物の作付け拡大を図るため、早期水稲の後作に適した飼料件物の草種、品種、栽培法を明らかにしました。
2 成果の概要、特徴
1)早期水稲の後作としては、イタリアンライグラスと青刈麦類の混播栽培が適しており、イタリアンライグラスや青刈り麦類を単播栽培するよりも乾物収量は高くなります。
2)早期水稲後地のイタリアンライグラスと青刈り麦類の混播栽培は、9月上句に播種し、12月中句〜下句と4月上句の2回収穫をしまず。2回収穫をした合計の乾物収量は1.2〜1.3t/10aです。
3)混播するイタリアンライグラスには極早生種、または早生種を用い、青刈麦類には早生種の青刈り大麦、または早生種の青刈エンバクを用います。この場合、どのイタリアンライグラスとどの青刈り麦類を組み合わせても高い乾物収量が得られます。
4)飼料件物後の早期コシヒカリ栽培では、前作飼料作物の残根残株の影響で休耕後のコシヒカリよりも初期生育が劣ります。このため、基肥や水管理に留意するとともに、穂肥を生育に応じて施用します。
3.主要なデータなど
図1 早期水稲後地における飼料作物の栽培
表1 早期水稲後に栽培した飼料作物の乾物収量
注)@播種日:9月5日、播種量:イタリアンライグラス2kg/10a、青刈り麦類10kg/10a
A収穫日:1番草−12月20日、2番草−4月8日。
B数値は全て10a当たり収量(kg)。
写真1 イタリアンライグラスと青刈り麦類の混播栽培