スプレーカーネーションの新しい品種を育成
園芸研究所
1 背景、目的
スプレーカーネーションは、カジュアルフラワーとしての需要が増加しています。しかし、本県の気象条件は、夏季が高温・多湿、冬季が低温・寡日照であるため、カーネーションの良品生産に問題があります。そのため、花色・花容がよく、耐暑・耐病性に優れた新品種の育成が求められていました。
そこで、本県の気象条件に適し、採花本数の多い、極早生〜早生で栽培が容易なスプレーカーネーションの新品種を育成しました。
2 成果の概要、特徴
「パールピンク」を母に、「リザ×ミス・ビワコ」の選抜系統を父として交配し、得られた固体の中から極早生で小輪、1茎多花で、芳香が強い「福園10号」を選抜しました。
さらに、「福園10号」の枝変わりとして、花色が異なる「福園11号」を選抜しました。
1)「福園10号」は、花色が明赤紫色で花茎は3〜3.5cmの極小輪です。1本の茎に蕾が12〜14個着花し、花柄長は5〜8cmと短く草姿のバランスが優れています。摘心後の分枝長は80〜85cmと長く、節数は19〜20とやや少ないが、茎は硬く垂直に伸長します。また、芳香が強いのも特徴です。
2)枝変わり系統の「福園11号」は、花色が鮮やかな紫ピンクで開花の早晩性は母本の「福園10号」よりもわずかに晩生ですが、他の特性は母本と同一です。
3)栽培特性としては、6月定植の1回摘心で4〜5本分枝し、1番花は9月中句から開花します。対照品種の「エンゼル」と比較して1茎当たりの花数が多く、また、分枝数がやや多く、1株当たりの採花本数は14〜15本と多収性です。
3.主要なデータなど
表1 育成品種と対象品種の特性
注)@定植時期:6月20日 ガラス温室(ベンチ栽培)。
A摘心方法:1回摘心(定植後1回)。
B耐 病 性:萎凋細菌病、斑点細菌病について調査。
C*:ナデシコ系カーネーション
写真1 「福園10号」 写真2 「福園11号」