狭い場所でも手軽にできるイチゴの壁掛け式苗づくり

園芸研究所

1 背景、目的
 慣行のイチゴ採苗では、親株1株からの採苗数が10株程度と少ないため、本園10a当たりの親株数は800株を必要とします。また、親株床の面積も本圃面積の約6割程度のもの広さが必要となります。
 少ない面積で効率的にイチゴ苗を採るためには、親株を高い位置に設置し、ランナーを下垂させ採苗する、高設方式が考えられます。
 そこで、小型ポットを利用して、標準的な採苗時期の6月上句に、親株1株当たり40本以上の子苗を得ることができる、高設栽培法を確立しました。

2 成果の概要、特徴
1)地表から150cmの高さに植え付けた親株から、ランナーを空中に下垂させた状態で子苗を発生させることにより、慣行に比べて徒長の少ない揃った苗が確保できます。この方式では、必要な親株数が慣行の4分の1と大幅に少なくて済みます。

2)ランナーが横に広がらないので、必要な親株床の面積は慣行の10分の1から20分の1と極めて少なくて済みます。

3)栽培槽の下に張ったネット(防鳥綱)を利用して、小型ポットに鉢受けすることによって、腰を伸ばした楽な姿勢で苗とりができまず。

4)断面積がわずか120u程度の大きさの栽培槽でも十分な数の子菌を採ることができます。

5)親株を冷蔵して植え付けると、より多くの子苗が確保できます。6)2年目の培土でも十分使えるので、培土購入に要する経費が少なくて済みます。


3.主要なデータなど


  図1 高設親株床のランナー発生状況    図2慣行親株床のランナー発生状況


  表1 子苗の発生次数と草丈             表2 培土の使用年数と子苗発生数

  表3 栽培槽の種類と子苗発生数

 資材費等の試算例(1年間の償却費)
    培土:18,000円/2年  9,000円
    桶 : 700円/m×50m/5年=
                7,000円
    防鳥網、直管等:     4,000円
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    合 計        20,000円