うどんこ病に強く、ビール造りに適した二条大麦新品種「ミハルゴールド」を育成

農産研究所

1 背景、目的
 本県は、わが国の主要なピール大麦産地です。現在の基幹品種「あまぎ二条」は、大麦縞萎縮病に弱く凸腹粒が発生します。また、本県で育成した「ニシノゴールド」は、大麦縞萎縮病抵抗性ですが、うどんこ病に弱く、側面裂皮粒が発生しやすい欠点があります。
 そこで、これらの欠点を改良して、これまでにない、優れたピール醸造適性と病気に強くて倒れにくく、栽培しやすい特性をもったビール大麦の新品種を育成しました。

2 成果の概要、特徴
 「ミハルゴールド(九州二条11号)」は、主要な育種目標を、優れた醸造適性やうどんこ病抵抗性及び大麦縞萎縮病抵抗性として、昭和57年に(大系H804×Spartan)F1を母に栃系157を父として交配した組合せから育成された品種です。
 本品種は平成7年に準奨励品種に採用され、工場規模での醸造試験のための試作栽培を行った後、一般栽培を予定しています。

 「ミハルゴールド」は「あまぎ二条」と比較して次のような特徴をもっています。

 1)出穂期、成熟期は同程度かやや遅い。
 2)程長と穂長はやや短く、穂数はやや多い。
 3)大麦編萎縮病とうどんこ病に強い。
 4)倒伏と湿害にはやや強い。
 5)側面裂皮粒はわずかに発生するが、凸腹粒の発生は少ない。
 6)多収で、整粒歩合が高く、大粒であり、検査等級はやや優れる。
 7)醸造適性は麦芽エキスとジアスターゼ力が特に高く、総合評点が優れる。


3 主要なデータなど

           

            表1「ミハルゴールド」の特性

 注)@昭和63〜平成6年度の農産研究所の平均値(検査等級は平成5年度)。
   A整粒重は子実重×整粒歩合(2.5mm以上の粒の割合)の値。
   B麦芽総合評点は高いものがよい。

 

 
    ミハルゴールド   あまぎ二条     ニシノゴールド
 
       写真1 「ミハルゴールド」と比較品種