混合飼料の可消化養分総量(TDN)の適正化による交雑種去勢牛の肉質向上

畜産研究所


1 背景、目的

 交雑種去勢牛(黒毛和種×ホルスタイン種)は、乳用種去勢牛に比べて優れた肉質の牛肉を生産できますが、飼料給与基準が確立していないことから、肉質が安定しにくいという問題があります。このため、良質肉(B3以上)を安定生産するためのTDN水準を明かにしました。
 産地育成が進められている県産ブランド牛肉「福岡牛」は、良質牛肉の指標とされる歩留肉質等級「B3」以上がその認定対象になっています。


2 成果の概要、特徴

1)肉質向上に適した混含飼料のTDN水準を、10〜13ヶ月齢の肥育前期75%、14〜25ヶ月齢の肥育後期は80%にすることにより、肥育後期の飼料効率が良くなります。また、枝肉のロース芯面積が大きくなり、脂肪交雑が向上して、歩留肉質等級「B3」以上が75%以上になります。

2)肥育後期の濃厚飼料中の糟糖類の割含を30%から50%へと増すと、脂肪の質は良くなりますが、ロース芯面積や、肉の締まり及びきめ等級が悪くなるので30%程度に抑える必要があります。


3 主要なデータなど

  第1表 飼養成績及び枝肉成績                (乾物%)


    
     写真1 交雑種去勢牛の「B3」等級の高品質牛肉