低脂肪ヘルシー鶏肉生産技術
畜産研究所
1 背景、目的
ブロイラー肉は、安価で良質な動物性蛋白質食品として高く評価され、国内における食肉供給量の約35%を占めています。最近では、消費者の食品嗜好の多様化が進み、現在のブロイラー肉の特徴に加え、脂肪が少なく、抗菌性物質製剤等の使用をできるだけ抑えたヘルシーなブロイラー肉が求められるようになってきています。そこで、これらの消費者二一ズに対応するため、低脂肪の高品質ブロイラー生産技術を確立しました。
2 成果の概要、特徴
この技術は、高蛋白質飼料原料(フェザーミールやコーングルテンミール等)を有効活用し、ブロイラーの過剰脂肪蓄積を抑制します。また、生理活性物質(フラクトオリゴ糖、酪酸菌)を用いて、抗菌性物質製剤使用期間の短縮化が図れることに特徴があります。
1)ふ化から21日齢までの飼育前期の飼料給与は、現行の飼育体系どおりとします。
2)22日齢以降の飼育後期は、抗菌性物質製剤の代わりに生理活性物質(フラクトオリゴ糖0.3%または酪酸菌0.2%)を給与します。
3)体脂肪の蓄積は、飼料の代謝エネルギー(ME)と蛋白質含量(CP)の比に影響を受けます。体脂肪の蓄積は、24日から26日齢以降急激に進む傾向にあります。そのため22日齢以降の飼料組成を代謝エネルギーは、3,150kcal/s、蛋白質含量は22.8%(ME/CP=138)にすることにより、腹腔内脂肪率2.7%、体脂肪率13.4%程度の低脂肪ブロイラー生産が可能となります。
3 主要なデータなど
第1図 低脂肪ブロイラー生産フロ−チャート
第1表 ME/CP比の異なる飼料の給与と育成成績
第2表 ME/CP比と腹腔内脂肪重/生体重比
@Y=腹腔内脂肪重/生体重×100 AX=給与飼料のME/CP比
B*:信頼度95%で有意 CMEの範囲は、3,000〜3,200kcal/kg
写真1 屠体と腹腔内脂肪(左:現行のブロイラー、右:低脂肪ブロイラー)