水稲の施肥法による穂いもちの被害軽減

農産研究所

1 背景、目的

 平成5年は、記録的な冷夏、日照不足となり、水稲にいもち病が多発し、大きな被害を受けました。そこで、主力品種の「ヒノヒカリ」について、穂いもちの発生に対する施肥法の影響について検討し、肥培管理面から穂いもちの被害を軽減する方法を明らかにしました。


2 成果の概要、特徴

 生育診断に基づいて適切に穂肥を施用すれば、穂いもちの被害を軽減できます。

1)基肥窒素量が多いほど穂いもちの発生は多くなりますが、穂肥を省略すると穂いもちの発生は軽減されます。

2)穂揃期の穂部におけるけい酸含有卒は、基肥窒素量が少ないほど高く、また、穂肥を省略することにより増加し、いもち病に対する抵抗性が高まります。

3)移植期から穂揃期までの窒素吸収量が多いほど、穂いもちの発生は増加します。特に、ヒノヒカリの生育診断の目標値である窒素吸収量10.5s/10aを越えると発生が急増しますので、目標値を越えないように穂肥を省略すると穂いもちの発病度は低くなり、減収程度は軽減されます。

  

3 主要なデータなど



  第1図 施肥量と穂いもちの発病程度、けい酸含有率、玄米重
  注)穂肥は3+2(Nkg/10a)、けい酸含有率は穂揃期の穂部



  第2図 穂揃期までの窒素吸収量と穂いもちの発病程度