地縁組織と担い手農家集団による効率的農地集合化の特徴

[要約]集落等の地縁組織が集落全体の農地の貸借に関するとりまとめ調整を、その受け手である認定農業者等の担い手農家集団が借地の調整配分を行うという機能分担により、集落を範囲とした小規模な農地集合化を進めることができる。集合化をさらに促進するには、自作地を含めた土地利用調整や調整対象区域の拡大等が重要である。

企画経営部・経営情報課

 連絡先

092-924-2972

 部会名
 

生産環境
 

専門
 

  経営
 

対象
 

  農地
 

分類
 

指導
 
[背景・ねらい]
 今日、農業経営基盤強化促進事業や農地整備事業に伴うソフト事業として、担い手農家への農地の利用集積が進められている。農地利用集積の推進に当たっては、単に面積の集積にとどまらず面的集積(以下農地集合化)を図ることが重要である。
 県内には、農地保有合理化法人による利用権一括設定方式での大規模な農地集合化の例がある。ここでは、集落を単位とした小規模な範囲で農地集合化を進めている鞍手町O集落を事例に、担い手農家集団による農地集合化の特徴、課題及びその推進方策を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
1.集落を単位とした農地集合化は、地縁組織が集落全体の農地の貸借に関するとりまとめ調整を、その受け手である認定農業者等の担い手農家集団が借地の調整配分を行うといった機能分担を行うことで、進められる(図1図3)。
 
2.O集落の農地集合化は、特別な費用をかけることなく集落内部だけで実施しており、対象区域を1筆面積が揃い、排水が良好なほ場に限定して進めている(図2)。
 
3.農地集合化によって担い手農家の集合化率(平均)は、自作地だけの段階の28%から37%に上昇し、面積拡大に伴うほ場分散を回避している(図3)。
 
4.農家組織による農地集合化の課題は、担い手農家集団に農地流動化を促進する機能がないことであり、流動化面積が減少すると集合化も停滞している(図4)。
 
5.農地集合化をさらに促進するためには、ア)集合化の対象に自作地を含める、イ)調整単位である区域を拡大する、等が重要である。
 
[成果の活用面・留意点]
 1.農地集合化を推進する場合の資料として活用できる。
 2.OA機器等の活用や土地台帳データ等の整備を行うことで、さらに効率的な集合化  調整が行える。
 
 
[その他]
研究課題名:地域的土地利用の展開方策
予算区分:経常
研究期間:平成11年度(平成10〜11年)
研究担当者:中原秀人、藤吉 臨
発表論文等:平成11年度九州農業地域農業試験研究成績・計画概要集−農業経営−