施設栽培シュンギクに対する塩類障害回避型肥料の効果

[要約]施設栽培シュンギクに対して、被覆燐硝安加里または被覆尿素配合による3作1回施肥(秋作、冬作、春作)を行うと、有機入り配合肥料を毎作施用した場合(農家慣行施肥)に比べて、塩類集積が軽減され収量が高くなり、品質も同等となる。


生産環境研究所・化学部・土壌管理研究室 [連絡先]092−924−2939

園芸研究所・野菜花き部・野菜栽培研究室 092−922−4111

[部会名]生産環境 [専門]土壌 [対象]葉茎菜類 [分類]普及


[背景・ねらい]

施設土壌では、降雨による肥料成分の流亡が少ないことから塩類集積が起こりやすい。特にシュンギクは、年間作付け回数が多いため他の作物に比べてこの傾向が強く・生育障害の発生が懸念される。生育障害を防止するためには、夏場のビニル除去や多かん水等の除塩対策を行う必要があるが、これらの処理に伴う周辺環境への養分の負荷が懸念されている。そこで、塩類障害回避型肥料を使用するごとにより、施設栽培シュンギクの収量安定と土壌中陰イオン濃度の低減を図る。

[成果の内容・特徴]

1 施設栽培シュンギクに対して被覆燐硝安加里または被覆尿素配合による3作1回施肥(秋作・冬作・春作)を行うと有機入り配合肥料を毎作施用した場合(農家慣行施肥)に比べて・収量が高くなり品軍も同等となる(表1)。
2 土壌ECは、有機入り配合肥料を毎年施用すると高く推移する。燐硝安加里を毎作施用するとやや低く推移するが、被覆燐硝安加里または被覆尿素配合による3作1回施肥を行うとさらに低くなる(図1)。
3被覆燐硝安加里または被覆尿素配合による3作1回施肥を行うと、有機入り配合肥料を毎作施用した場合に比べて、硫酸イオンの集積を大幅に抑制できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 野菜施肥基準に登載し、塩類集積防止のための施肥技術として活用する。
2 夏作の場合は、被覆肥料の窒素溶出パターシの制御が困難であるため、燐硝安加里を1作に限って施用する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:低ストレス型施肥による施設土壌の塩類集積防止
予算区分:国庫
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:小田原孝治、溝田幸恵、藤田彰、黒柳直彦
発表論文等:平成7〜9年度土壌環境対策事業成績書