ヒラナスと近縁種との細胞融合で得られた再生植物の雑種性確認

[要約]ヒラナス(Solanum integlifolium)と近縁種トキシカリウム(S.toxicarium)との細胞融合で得られた再生植物の雑種性は、PCR後の電気泳動パターン、染色体数及び幼植物の葉の形態により確認できる。


生産環境研究所・生物資源部・生物工学研究室[連絡先]092−924−2970
[部会名]生産環境 [専門]ハイテク[対象]果菜類 [分類]研究


[背景・ねらい]

ナス産地では近年台木のヒラナスに感染する青枯病が発生し、その対策に苦慮している。このため、台木特性の優れたヒラナスに、近縁種のもつ強度の青枯病抵抗性を導入することが望まれている。しかし、これらの種間では交雑による雑種の作出が困難である。そこで、雑種の作出に有望な細胞融合に取り組み、すでにその技術を確立した(平成7年度農業関係試験研究の成果「ナスと近縁種間の細胞融合による植物体の再生」)。ここでは、細胞融合で得られた再生植物の雑種性を確認する。

〔成果の内容・特徴]

1 ヒラナスと近縁種トキシカリウムとの細胞融合で得られた再生植物のうち約17%の11系統が体細胞雑種であった(表1)。
2 これらの雑種性は、ゲノムDNAを用いたPCR後の電気泳動パターン及び染色体数により確認できる(図1,2)。
3 これらの体細胞雑種は、葉の形態により明らかに両親と区別できる(図3)。

[成果の活用面・留意点]

1 今回作出した体細胞雑種については、「病害抵抗性系統の特性の検定」の中で、特性を検討する。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:細胞選抜、細胞融合による病害抵抗性系統の作出
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成4〜9年)
研究担当者:中原隆夫、平島敬太、古賀正明
発表論文等:第15回日本植物細胞分子生物学会講演要旨集138.1997