ポリエチレンフィルム内装段ボール容器を用いたブロッコリーの貯蔵技術

[要約]ブロッコリーをポリエチレンフィルム内装段ボール容器に詰め、0〜−2℃で貯蔵すると、4週間後までクロロフィル含量やアスコルビン酸含量及び品質を高く保つことができる。

生産環境研究所・流通加工部・流通利用研究室 [連 絡 先]092-924-2930
[部会名]生産環境 [専門] 加工利用 [対象] 葉茎菜類 [分 類]指 導

[背景・ねらい]

ブロッコリーは、収穫時期に応じて作型毎にいくつかの品種を組み合わせ長期にわたり出荷されているが、収穫期は気象条件の影響を受けやすく、特に気温の上昇する春先は収穫適期幅が狭くなり、計画的な出荷が妨げられている。そこで、収穫後のブロッコリーの品質保持方法について検討し、計画的な出荷を行うための貯蔵技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

@ブロッコリーの商品性に最も影響を及ぼす花蕾の黄化と関係するクロロフィル含量は、0〜−2℃で貯蔵すると貯蔵4週間後まで高く保つことができる(図1)。
A貯蔵温度が低いほど、またポリエチレンフィルム内装段ボール容器に詰めハンカチ包装したものほど、ブロッコリーの品質は高く保つことができる(図2)。
Bブロッコリーをポリエチレンフィルム内装段ボール容器に詰めて0〜−2℃で貯蔵すると、貯蔵4週間後までアスコルビン酸含量やクロロフィル含量の低下を抑制できる(図3)。
C貯蔵後、実際の出荷を想定して出庫1日後は室温、2日後は15℃に置いても、0〜−2℃で貯蔵したものは、出庫後2日間は商品性を維持できる(図3)。

[成果の活用面・留意点]

@出荷調整のためのブロッコリーの貯蔵技術資料として活用する。
Aポリエチレンフィルムを内装したコンテナを用いても、ポリエチレンフィルム内装段ボール容器と同等の効果が期待できる。
B貯蔵中の凍結を防止するため、冷蔵庫の冷気が出荷容器に直接当たらないようにする。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:低温利用による果菜類の長期貯蔵技術の開発
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成5〜8年)
研究担当者:池田浩暢、茨木俊行
発表論文等:平成5〜8年度生産環境研究所流通加工部試験成績書