青ネギの品質保持に適した雰囲気ガス組成

[要約]青ネギの品質保持に適した雰囲気の酸素濃度と二酸化炭素濃度(%)の割合は、 7.6:12.6〜4.1:17.1である。青ネギをこの雰囲気ガス組成で貯蔵するとアスコルビン酸などの内容成分を保持することができ、収穫後の葉の萎凋も抑制できる。

生産環境研究所・流通加工部・流通利用研究室 [連 絡 先]092-924-2930
[部会名]生産環境 [専門]加工利用 [対象]葉茎菜類 [分類]指 導

[背景・ねらい]

現在、青ネギはポリプロピレンフィルム袋で包装後流通されているが、シール方法やフィルムの種類により、品質保持期間が異なる傾向がみられる。そこで、青ネギの品質保持に適する包装フィルムを見いだすため、雰囲気ガス組成が内容成分や収穫後の葉の萎凋に及ぼす影響について明らかにする。

[成果の内容・特徴]

@販売時の低温ショーケース内温度を想定した、15℃における青ネギの二酸化炭素排出速度は、雰囲気の酸素濃度の低下(二酸化炭素濃度の上昇)にともない減少する。
呼吸商は雰囲気ガス組成にかかわらずほぼ一定値を示すことから、酸素濃度が4.1%の環境下においても、無気呼吸は認められない(表1)。
A青ネギのアスコルビン酸含量は、雰囲気の酸素濃度が高いほど収穫後に減少する傾向がみられるが、酸素濃度が7.6%〜4.1%では収穫8日後まで保持できる(図1)。
B全糖含量及びクロロフィル含量も、アスコルビン酸含量とほぼ同様の傾向を示す(データ略)。
C青ネギの収穫後の葉の萎凋程度は酸素濃度が低いほど小さい(図2)。

[成果の活用面・留意点]

@フィルム包装による青ネギの品質保持技術として活用できる。
A微細孔フィルムを用いるとフィルムのガス透過性をコントロールできる。
B青ネギの呼吸速度は貯蔵温度や収穫時期により変化するので留意する。
C雰囲気の酸素濃度が4%以下になると無気呼吸し、品質低下が早くなる場合がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:最適MA条件の解明
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成8年度(平成7〜8年)
研究担当者:茨木俊行、池田浩暢
発表論文等:平成7〜8年度生産環境研究所流通加工部試験成績書
日本食品保蔵科学会誌1997.23(1)