抗血清によるブドウ根頭がんしゅ病菌の簡易検出法


[要約]
 ブドウの根頭がんしゅ病病原細菌である、アグロバクテリウム菌に対する抗血清を作出した。本菌は、作出した本血清を利用して、スライド上で病原細菌との凝集反応の有無により、簡易かつ迅速に判定できる。

果樹苗木分場・無毒化研究室
[連絡先] 09437-2-2243
[部会名 ] 生産環境
[専門]    病害虫
[対象]    果樹類
[分類]    研究


[背景・ねらい]
  県内において、ブドウの根部や枝梢にコブができて、樹勢を衰弱させる根頭がんしゅ病が発生している。本病を起こす病原細菌は、常法では同定にかなりの期間を要する。そこで、本病原細菌に対する抗血清を作成し、迅速かつ簡易に検定する方法を確立する。

[成果の内容・特徴]
@確立した検定法は、分離した細菌と作成した抗血清をスライド上で混合し、凝集反応の有無を肉眼で確認することにより、迅速でしかも簡便に判定できる(図1)。

A抗血清の作成には免疫期間が50〜60日必要であり、抗血清希釈倍数が320倍でも肉眼で凝集を確認できる(表1)。

Bルーペや顕微鏡を利用すれば、抗血清濃度が低くても判定が可能である(表1)。

Cナシの根頭がんしゅ病細菌に対して、モノクローナル抗体を作成したが、明確な判定ができなかった(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
@病原菌の分離には酵母エキス・ペプトン培地を用いる。

A凝集反応は5分以内で起こるが、細菌濃度が低いと観察しにくい。


[具体的データ]

  表1 ブドウ根頭がんし病菌に対する免疫期間別のスライド凝集素価

 注)++:反応強、+反応中、±反応弱。−:反応なし



     凝集               無凝集
       図1 スライド凝集反応


[その他] 
研究課題名:果樹病原菌に対する抗体の作出と適応性の検討 
予算区分 :経常 
研究期間 :平成6年度(平成4〜6年) 
研究担当者:草野成夫、下村克己 
発表論文等:平成5〜6年度果樹苗木分場成績書