ブロッコリ−収穫残渣による窒素供給量と分解特性


[要約]
  ブロッコリ−収穫残渣すき込みによる窒素供給量は7〜28kg/10aである。すき込み後、窒素の75%が分解する期間は12月初旬及び3月初旬すき込みの畑状態下では各々70日、25日程度で、4月下旬すき込みの水田状態下では40日程度である。

生産環境研究所・化学部・土壌管理研究室
[連絡先]  092−924−2939
[部会名]  生産環境
[専門]    肥料
[対象]    水稲
[分類]    指導 


[背景・ねらい]
ブロッコリ−は収穫対象が花器の部分であり、他の野菜に比べて収穫残渣量が多いため、収穫後にすき込まれる残渣の分解が不十分な場合、後作の早期コシヒカリに及ぼす影響が大きい。そこで、収穫後にすき込まれる残渣量と窒素含有率から水田土壌に供給される窒素量を実態調査により明らかにするとともに、すき込まれた後の収穫残渣の分解特性を検討し、後作早期コシヒカリに対する施肥管理対策の基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
@10〜11月収穫の作型では収穫残渣中の窒素含有率が低く、残渣量が10a当り5000kg以上であっても、すき込まれる窒素量は10a当り15kg程度である(表1)。

A1〜2月収穫の作型では窒素含有率が高くなり、すき込まれる窒素量は10a当り20kg以上となる(表1)。

B3〜4月収穫の作型では窒素含有率が高いうえに残渣量も多くなり、すき込まれる窒素量は最高で10a当り28kg程度となる(表1)

Cガラス繊維濾紙法による調査では、すき込み後窒素の75%程度が分解するのに要する期間は、12月初旬すき込み(畑状態)で70日程度、3月初旬すき込みで(畑状態)で25日程度、4月下旬すき込み(水田状態)で40日程度である(図1)。

D葉は他の部位に比べて窒素含量が最も多く(表1)、分解率も高い(図1)。

[成果の活用面・留意点]
ブロッコリ−作付後の早期コシヒカリ肥培管理対策の基礎資料として活用する。


[具体的データ]

  表1 収穫時期別ブロッコリー収穫残渣量及び窒素供給量(平成5〜6年)


 注)調査地域は筑紫野市で、A〜Hは各1カ所について調査した。平成7年は合計15カ所
   の平均値。




 図1 ガラス繊維濾紙法によるブロッコリーすき込み時期別の窒素分解率(平成6年)
     ●:葉、▲:茎、■:根、−−地温(5cm)


[その他]
研究課題名:野菜−水稲体系における土壌養分の動態調査
予算 区分:国庫
研究 期間:平成6年度(平成5〜6年)
研究担当者:黒柳直彦、藤田彰、小田原孝治、兼子明、渡邉敏朗
発表論文等:平成5〜6年度 福岡県農業総合試験場 土壌環境対策事業成績書