エチレン処理と間欠通風乾燥による高品質干柿の短期製造法

 〔要約〕渋カキ「尾谷」は、果皮色が柿用カラ−チャ−トで5以上の果実を収穫し、 エチレンで7日間追熟処理した果実を間欠通風乾燥させることにより、収穫から約2週間で品質の優れた干柿を製造することができる。
 
  福岡県農業総合試験場・流通加工部・農産加工研究室 [ 連絡先] 092-924-2930

[部会名]生産環境  [専門]加工利用 [対象]果樹類  [分類]指導
 
[背景・ねらい]
 嘉穂地域では、地域特産加工品として渋カキ品種「尾谷」を用いた干柿の商品化に取り組んでいる。しかし、「尾谷」は,熟期が遅いために干柿の製造出荷が需要期である年末に間に合わないことや、農家により製造方法が異なるために品質が揃わないという問題を抱えている。
 そこで、品質の揃った美味しい干柿を年末に出荷できるような干柿の短期製造方法を開発する。(要望機関名:飯塚普(H8))
 
[成果の内容・特徴]
 1 「尾谷」は、果皮色が柿用カラ−チャ−トで5以上の果実を、温度25℃でエチレン濃度を1000ppmとして1日間処理を行い、その後5〜6日間追熟することにより干柿製造に適した熟度になる。果皮色が5未満の果実は、エチレン処理を行っても着色しな  い(表1)。
 
 2 追熟したカキは、乾燥温度が50℃以上では発酵臭のある黄色の干柿になり、また、通風を連続して乾燥すると干柿表面に大きな皺ができて品質が悪くなるので、乾燥温度は30〜40℃に設定し、2時間通風して1時間通風を停止する間欠通風乾燥を繰り返すことにより、乾燥開始後4〜7日の短期間で、自然乾燥では約40日間かかる減量率70%程度の高品質干柿が計画的に製造できる(表2)。
 
 
[成果の活用面・留意点]
 1 地域特産品の加工技術として活用する。
 2 未脱渋の果実を、急速に乾燥させると渋の残った干柿になる。
 3 シイタケ乾燥機や穀物乾燥機を利用する場合は、間欠タイマーを設置し機種により通風条件を調整する。
 
[具体的データ]
 
 
[その他]         
 研究課題名:地域農産物を利用した加工新技術の開発     
 予算区分:県単          
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:山下純隆、久保田朗、法村奈保子
 発表論文等:平成8、9及び10年度流通加工試験研究成績書