県内で生産される肉牛ふん堆肥の肥料成分および水分含量

[要約]オガクズを副資材とする肉牛ふん堆肥の全窒素、りん酸、加里含量は、各々1.7、2.1、2.3%である。オガクズの他に鶏ふんを含む堆肥では、オガクズだけを合む堆肥に比ベ、各肥料成分は0.5〜2.0ポイント程度高くなる。バークを副資材とする堆肥の各肥料成分は、0.1〜0.5ポイント低下するが、C/N比20の良質堆肥となる。


畜産研究所・中小家畜部・環境衛生研究室 [連絡先]092−922−4100
[部会名]畜産 [専門]環境保全 [対象]家畜類 [分類]普及


[背景・ねらい]

家畜ふん堆肥は、有機質資材としての効用が見直され、特に牛ふん堆肥は土壌改良効果を期待した施用が普及している。しかし、堆肥中に含まれる肥料成分等が明らかでないために施用量によっては塩類集積による障害が懸念される。また、堆肥の広域流通を促進するためにも、肥料成分を明確にしておく必要がある。そこで、県内で生産される肉牛ふん堆肥のうち副資材が異なる場合の堆肥の肥料成分及び水分合量の実態を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 オガクズのみを副資材とする堆肥(以下オガクズ堆肥)は、水分合量が62%で乾物当たりの全窒素、りん酸、加里含量がそれぞれ1.7、2.1、2.3%である。これは技術指標の数値に比べ、りん酸が0.33ポイント、集積による障害が問題となる加里は、0.25ポイント程度高くなっている(表1)。
2 オガクズの他に鶏ふんを混合して調製した堆肥は、オガクズ堆肥に比べ、水分合量が17ポイント程度低くなる一方、全窒素等の肥料成分は、石灰の2.0ポイントを最高に0.5ポイント以上高くなる(表1)。
3バークを副資材とする堆肥は、乾物当たりの全窒素、りん酸、加里含量がそれぞれ1.6、1.6、1.9%で、C/N比は20.5となり、バーク堆肥の推奨基準である25以下の良質堆肥となる(表1)。
4 オガクズ堆肥は、全窒素、加里、水分合量がそれぞれ1.5%以上2.0%未満、2.0%以上2.5%未満、60%以上70%未満で全体の半数を占めたのに対し、りん酸は2.0%以上2.5%未満の堆肥が最も多いものの、2.0%未満や3.0%以上の堆肥も多く存在する(図1)。

[成果の活用面・留意点]

1 現在県内で生産されている肉牛ふん堆肥の成分値として技術指標に掲載し、活用する。
2 地力維持を目的に牛ふん堆肥を連用する場合、加里集積の可能性があることから、施用した牛ふん堆肥量に応じて、化学肥料の施用を抑御する必要がある。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:近赤外分析計による堆肥成分迅速評価法の確立
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜10年)
研究担当者:小山。太、高椋久次郎
発表論文等:平成8,9年度畜産関係試験成績書