近赤外分光法による肉牛ふん堆肥成分の迅速測定技術

[要約]
 近赤外分光法により、肉牛ふん堆肥の堆肥成分として重要な全窒素、リン酸、加里、石灰、苦土含量に加え水分及び全炭素を迅速に測定することができる。

畜産研究所・飼料部・家畜栄養研究室  [連絡先]092-925-5231
      中小家畜部・環境衛生研究室
 
[背景・ねらい]
 有機質資材としての肉牛ふん堆肥は、肥料成分合量の不均一性が問題となっており、堆肥の利用促進を図るため、肥料成分を迅速に分析する分析技術の開発が望まれている。近赤外分光法は、サンプルを乾燥粉砕するだけで成分合量を迅迎に測定できる分析法である。この方法を応用して、平成9年度成果では、乳牛ふん堆肥の堆肥成分を迅速に測定する技術を確立した。さらに、肉牛ふん堆肥の堆肥成分についても同様に測定技術を確立する。
(要望機関名:八女普、、福岡普、北九州普(H9))
 
[成果の内容と特徴]
1 近赤外分光法による堆肥成分測定に必要な検量線作成に用いたたサンブルは、県内の肉牛を主な畜種とする肉牛ふん堆肥144点で、県内の肉牛ふん堆肥を代表するサンブル集団である(衰1)。
2 全窒素と全炭素の変動係数は小さく、リン酸と石灰の変動係数(表1)。
3 各成分の検量線は検定の相関係数(r)が0.811以上と高い(表2)。
4 検量線の分析精度は、検量線の標準誤差(SEC)と検定の標準誤差(SEP)に大きな差はなく、標準誤差の値から判断して実用性が認められる測定精度である(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 県内で生産される肉牛ふん堆肥の堆肥成分を近赤外分析計で測定することで、その分析値を参考とした施肥設計を行うことができる。
2 肉牛ふん堆肥を対象としているため、その他の堆肥には適合しない。
3 近赤外分析法は非破壊分析であるので、公定法による数値としては取り扱えない。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:近赤外分析計による堆肥成分迅速評価法の確立
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
研究担当者:梅田剛利、小山太、大石登志雄、高椋久次郎
発表論文等:平成10年畜産関係試験成績書