活性汚泥法と膜分離法を組合せた排水処理装置の汚水浄化能力

[要約]
 活性汚泥法と膜分離法を組み合わせた汚水処理装置によるフリーストール方式酪農の汚水浄化では、処理水の色は黄褐色・透明で透視度50以上、BOD、SS、T−Nはそれぞれ20mg/l,10r/l,50r/l以下で良く浄化され、曝気槽内の水温が低い冬季でも汚水浄化能力の低下は認められない。

畜産研究所・中小家畜部・環境衛生研究室 [連絡先]092−925−517マ
[部会名]畜産 [専門]環境保全 [対象]家畜類 [分類]指導
 
[背景・ねらい]
 県内のフリーストール方式の酪農家(飼養規模:成牛150頭、育成牛60頭)に、活性汚泥法と中空糸外圧型膜ユニットを組み合わせた汚水浄化処理装置が新設された。フリーストール方式の酪農家は増加しており、水質規制の強化と相まって同様な装置の導入が増加するものと思われるため、本装置の汚水浄化能力を明らかし、施設導入に当たっての資料とする。(要望機関名:筑後農林(H10))
 
[成果の内容・特徴]
1 この廃水処理装置は曝気槽の活性汚泥液中に中空糸膜(透過孔径0.1μm、糸の内径0・3o・膜面積20m)、を浸漬させ、外圧型膜ユニットで処理水中の汚濁物質の除去が強制的に行われるため、曝気槽内のMLSS(活性汚泥浮遊物質)濃度が12,000r/lと高濃度の場合でも、汚濁物質の除去が容易である(図1、表1)。
2 曝気槽内のBOD(生物化学的酸素要求量)容積負荷は、0.2〜0.3kg/m,/日で、溶存酸素は適量の1r/l程度に保たれており、適正に維持されている(表1)。
3 処理前の原水と処理水を比較すると、汚水の色は黄白色・白濁が黄褐色・透明に、透視度は2が50以上に、BODは470r/lが13r/lに、COD(化学的酸素要求量)は487r/1が11mg/lに、SS(浮遊物質)は1,245r/lが8r/lに、T−N(全窒素)は559r/lが49r/lとなり、曝気槽内の水温が低い冬季でも汚水浄化能力の低下は認められず、水質汚濁防止法の畜舎排水規制値以下であり・浄化能力の高い汚水処理装置である(表2)。
4 排水処理装置の維持管理費は約434千円/年(36千円/月)、成牛1頭当たりでは約2.9千円/年(240円/月)である(表3)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 同様の排水処理施設が導入される場合の資料として活用する。
2 処理水は牛の待機場や通路の洗浄用水として再利用できる。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:大規模高能率酪農技術の実証試験
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:平成10年度(10年度)
研究担当者:高椋久次郎、小山太
発表論文等:平成10年度畜産関係試験成績書