［要約］スーダングラス中の硝酸態窒素は、生草双びサイレージを乾燥粉砕し、２０分間振とう後、ろ過した抽出液に試験紙をつけ、小型反射式光度計で測定し、その測定値を硝酸態窒素に換算後、Ｙ＝0.834Ｘ＋0.010の回帰式により推定できる。

畜産研究所・飼料部・家畜栄養研究室 ［連絡先］０９２−９２５−５２３１
［部会名］畜産 ［専門］動物栄養 ［対象］牧草類 ［分類］普及

［背景・ねらい］

家畜の硝酸塩中毒を回避するため、現場で迅速、簡易に測定できる硝酸態窒素含量の測定法が求められている。生産現場において生草やサイレージ中に含まれる硝酸態窒素含量を測定できれば、その後の調製や給与を的確に行う事が出来る。スーダングラスサイレージについては、平成８年成果で小型反射式光度計での測定方法明らかにした。さらに、スーダングラス生草についても小型反射式光度計を用いた硝酸態窒素含量の測定技術を確立する。

［成果の内容・特徴］

１ スーダングラス生草中硝酸態窒素含量の測定は、電子レンジで乾燥し、市販のコーヒーミルで粉砕した試料１ｇに蒸留水５０ｍｌを加え２０分間振とう機で振とう後、ろ過した抽出液に試験紙をつけ、１分経過した後に小型反射式光度計で測定を行う（図１）。

２ 高速液体クロマトグラフによる公定法と小型反射式光度計による硝酸態窒素含量測定値との相関係数は、生草及びサイレージともに高い値を示し、生草とサイレージ全体での相関係数は0.9896と高いことから、小型反射式光度計による測定は可能である（表１，２）。

３ スーダングラス中硝酸態窒素含量の高速液体クロマトグラフを用いた公定法による測定値は、小型反射式光度計での測定値を硫酸態窒素に換算後、Ｙ＝0.834Ｘ＋0.010の回帰式により推定できる（表２、図２）。

［成果の活用面・留意点］

１ スーダングラス生草及びサイレージ中の硝酸態窒素含量測定に用いる。

２ 小型反射式光度計で表示される値は、硝酸イオンで表示されるため、硝酸態窒素値に換算する（表示値×0.2257＝NO-3）。

３ 電子レンジ（５００Ｗ）での乾燥（福岡島総試研報Ｃ−１２）は、試料５０ｇを平皿にひろげて入れ、出力を強で５〜６分乾燥し、その後試料を反転し、さらに５〜６分乾燥してから重量を測定する。このことにより、生草中水分の同時定量が可能である。

４ 試験紙：リフレクトクアント硝酸イオンテスト試験紙（メルク社製）

［具体的データ］

［その他］
研究課題名：硝酸態窒素含量の迅速簡易測定法
予算区分：経常
研究期間：平成９年度（平成８〜１０年）
研究担当者：今村弘子、梅田剛利、棟加登きみ子、大石登志雄、井上信明
発表論文等：平成９年畜産関係試験成績書