高温高速気流方式により乾燥した食品製造副産物の飼料成分特性

[要約]高温高速気流方式により乾燥した食品製造副産物の中でトウフ粕、リンゴジュース粕の飼料成分は日本標準飼料成分表値と大きな差はないが、廃鮭は粗蛋白質含量が高く、家禽処理副産物の粗脂肪含量は低い。また、リンゴジュース粕、廃鮭および家禽処理副産物は高温高速気流方式で処理すると粗蛋白質消化率が低下する。

畜産研究所・飼料部・家畜栄養研究室 [連絡先]092-925-5231
大家畜部・肉用牛研究室
[部会名]畜 産[専門]動物栄養 [対象]その他の飼料 [分類]研究

[背景・ねらい]

食品製造副産物は家畜に有用な栄養素を含むが、現物のままでは水分が多いので、変敗が早く、ハンドリングも困難である。保存性、ハンドリングは水分含量を低くすれば向上することから、現行では加熱や油で揚げて乾燥処理を行っている。今回、低コストで処理中の臭気が少ない新たな乾燥・自然粉砕方法である高温高速気流方式(ジェットバーナー使用:日立製作所製:以後JB)が開発された。今後、この方式による製品量の増加が見込まれるのでJB処理した食品製造副産物(4種類)の飼料成分含量とその特性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]

@JB処理したトウフ粕の飼料成分含量は日本標準飼料成分表値の標準誤差内かそれに近い値を示し、一般に使用されているトウフ粕と飼料成分的に大きな差異は認められない。リンゴジュース粕の飼料成分含量も成分表の標準誤差内にあり通常飼料として使用されるものと差異は認められない(表1)。
A廃鮭は成分表のホワイトフィッシュミールより粗蛋白質含量が高い、高蛋白飼料である。家禽処理副産物は成分表のチキンミールと粗蛋白質含量は等しいが、粗脂肪含量は低く、粗灰分含量が高い(表1)。
BJB処理によりリンゴジュース粕、廃鮭、および家禽処理副産物の粗蛋白質消化率は凍結乾燥処理区に比べ著しく低下する。製造過程において加熱の行われているトウフ粕の粗蛋白質消化率は変化しない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
@高温高速気流方式により製造された飼料活用の際の参考とする。
A廃鮭と家禽処理副産物は高蛋白飼料であるが、その消化率は低いので、蛋白質の充足について注意が必要である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:食品製造副産物を活用した肥育牛用混合飼料の栄養価評価
予算区分 :国庫(地域重要)
研究期間 :平成8年度(平成8〜9年)
研究担当者:棟加登きみ子、今村弘子、徳満茂、平嶋善典
発表論文等:平成8年度畜産関係試験成績書