福岡県におけるシルクソルガムの栽培と飼料特性

[要約]福岡県においてシルクソルガムを栽培した場合、乾物収量は3回刈りで約1.7t/10a、飼料成分は粗蛋白質含量12.6%、インビトロ乾物消化率46.4%程度であり、スーダングラスと同等であるが、越冬性は低く単年利用となる。

畜産研究所・飼料部・飼料作物研究室

連絡先

 092-925-5229

部会名
 

 畜  産
 

専門
 

栽  培
 

対象
 

飼料作物
 

分類
 

 指導
 
[背景・ねらい]
 ジョンソングラスの交雑種であるシルクソルガムは多収で、生育特性として地下茎で繁殖するため、南九州で栽培すれば、多年生作物として利用可能であるが、ジョンソングラスに比べ繁殖力が弱いといわれている。しかしながら、北部九州での栽培実績は少なく、その特性は不明である。そこで、福岡県で栽培を行った場合におけるシルクソルガムの収量、飼料成分、越冬性等の栽培、飼料特性を明らかにする。
                          (要望機関名:飯塚農林(H10))
 
[成果の内容・特徴]
1.シルクソルガムの乾物収量は伸長期3回刈りで約1.7t/10aと多収である(表1)。
 
2.シルクソルガムを伸長期で収穫すると、CP(粗蛋白質含量)含量 12.6%、IVDMD(インビトロ乾物消化率)46.4%で県奨励品種(ヘイスーダン)と同等の飼料価値を持つ(表2)。
 
3.シルクソルガムの再生利用2年目の乾物収量は、100kg/10a程度と少なく、越冬利用は困難である。また、ロータリー耕を行い、冬作にイタリアンライグラスを作付すれば、翌年の再生は期待できない(表3)。
 
4.シルクソルガムは、ヘイスーダンに比べて低温での発芽率が低く、早まきには向かない(表4)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1.本県においてシルクソルガム栽培を行う際の参考となる。
 
 2.出穂期を過ぎると茎の硬化が進むので、刈り遅れないよう注意する。
 
[その他]
 研究課題名:多年生夏作飼料作物を利用した省力的作付け体系
 予算区分:経常
 研究期間:平成11年度(平成10〜12年)
 研究担当者:敷田成太郎、馬場武志、井上信明、棟加登きみ子、梅田剛利
 発表論文等:平成10、11年度畜産関係試験成績書