肉用向け横斑プリマスロック優良系統の育成
 
[要約]
 地域特産肉用鶏として利用するため、卵肉兼用種である横斑プリマスロックを大型化
し、純系で肉用に利用できる優良系統を造成した。体重は選抜開始前の約1.5倍あり
肉の赤色度が高く・モモ肉の歩留まりが高い。産卵率とふ化成績は良好であり、種鶏と
しての能力も高い。
 
畜産研究所・中小家畜部・家きん研究室  連絡先:092−922−4100
[背景・ねらい]
 横斑プリマスロック(BP)は、かつては「さざなみ」の通称で広く飼育され、シャ
モと並ぶ良食味鶏とされていた卵肉兼用品種である。BPの肉は、同じ兼用種であるニ
ューハンプシャー等と比較した場合、筋繊維中の糖質代謝酵素の活性が筋肉全体におい
て高く、筋繊維間の脂肪粒も多いという特性を持っている。しかし、体重は雌雄平均2
Kg強と小さく、そのまま肉用に利用することは困難である。そこで、BPに異血導入
と選抜を実施して大型化を図り、肉用鶏向けの優良系統を育成する。
 
[成果の内容・特徴]
 1 農総試保有の卵肉兼用BP群に対し、平成4年度に農林水産省家畜改良センター
兵庫牧場より導入した大型BP系統(88系)の雄を交配し選抜した結果、150日齢
における雌雄平均体重は3.14sに達し、選抜開始前と比較すると約1.5倍に大型
化している。体重のばらつきを示す変動係数は、9年度において雄10.6〜11.4
雌9.6〜9.9であり、肉用鶏として利用可能な範囲にある(表1)。
 2 ブロイラーと比較して正肉歩留まりはやや低いが、雄においてモモ肉の比率が非
常に高く、ムネ肉比率が低いという特徴を持つ。肉色においては赤色度は明らかに高く
特にモモ肉において顕著である(表2)。
 3 50%産卵到達日齢は162日と早く、300日齢を越えた時点で産卵奉は65
%以上を維持している。受精率、ふ化率ともに高く、種鶏としての性能は良好である(表
3)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 他の品種・系統との交雑を行わない純系の肉用鶏として普及を図る。
 2 肥育用素ひな供給体制の確立が必要である、
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:高品質素材鶏の優良系続育成
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成5〜継続)
研究担当者:西尾祐介、上田修二、津留崎正信
発表論文等:平成6〜9年度畜産関係成績書