夏期の照明漸増と蛋白摂取量増加によるシャモ雄種鶏の受精率向上

[要約]夏期に「はかた地どり」のひなを安定的に生産するには、雄種鶏のシャモを夏 至以降照明時間を漸増させる条件下で、蛋白摂取量が28g/日程度になるように飼養することにより、精液量と精子数の減少は少なく、受精率は高くなる。

畜産研究所・中小家畜部・家きん研究室 [連絡先]092-922-4100
[部会名]畜 産 [専門]繁 殖 [対象]家きん類 [分類]普 及

[背景・ねらい]

「はかた地どり」の消費は冬期が最盛期になり、このひなの生産は夏期にあたる。ふ化場において、夏期は受精率及びふ化率の低下によるひなの生産性の低下が問題になっている。平成7年度成果情報として、雄種鶏のシャモを5月に餌付けすると、造精能力のピークを夏期前に迎えるため、精液量と精子数の減少が少なく、受精率が改善されることを明らかにしたが、さらに、夏期における飼養管理について明らかにする必要がある。
そこで、鳥類の繁殖性に関わる日長時間と蛋白摂取量がシャモ雄の精液生産に及ぼす影響を明らかにすることによって、夏期における「はかた地どり」のひな生産の安定化を図る。

[成果の内容・特徴]
@夏至以降照明時間を一定(14時間)にした場合、蛋白摂取量が増えると、精液量と精子数が増加する。また、夏至以降に照明時間を漸増(15分/週)させると、蛋白摂取量が増加し、精液量と精子数が増加する傾向にある(表1)。
A夏期における雄種鶏の精液生産の改善には、照明の漸増効果より蛋白摂取量の増加が効果がある(表1)。
B7月では精液性状に差はないが、8月以降に照明と蛋白摂取量の効果が明確になる(表1)。
C照明時間を漸増させると共に蛋白摂取量を28g/日に増やすと、照明時間と蛋白摂取量をそれぞれ単独で増やした場合に比べて、夏期の受精率は向上する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
「はかた地どり」の雄種鶏であるシャモを飼養するふ化場において、ひな生産の向上に役立てる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:飼料の蛋白質含量と日長時間が造精能力に与える影響
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成6〜8年)
研究担当者:上田修二,西尾祐介、福原絵里子、村上徹哉、津留崎正信
発表論文等:平成7,8年度畜産関係試験成績書