褐色卵の卵殻色褪色防止と鮮度保持のための適正保管場所および出荷サイクル


[要約]
褐色卵の卵殻色の褪色は、ウィンドウレス鶏舎と開放鶏舎の鶏舎構造の違いによる影響をほとんど受けないが、鶏齢、日光、紫外線に大きく影響される。また、産卵後 2日以内では鶏卵鮮度の指標としてのハウユニットの低下は小さい。そのため、集卵後の卵の保管場所は室内の暗所とし、2日以内で出荷する。

畜産研究所・中小家畜部・家きん研究室
[連絡先] 092−922−4100
[部会名] 畜産
[専門]   飼育管理
[対象]   家きん類
[分類]   普及


[背景・ねらい]
 採卵鶏農家における褐色卵鶏は主として付加価値卵、ブランド卵向けに飼育されているが、消費者は色の薄い褐色卵より濃い褐色卵を好む傾向にあるため、農家では色の濃い鶏種を選定することで対応している。一方、褐色卵鶏を開放鶏舎で飼養すると、ウィンドウレス鶏舎で生産された卵の卵殻色と比較して、褪色しやすいといわれている。そこで、鶏舎構造や紫外線等が卵殻色の褪色現象におよぼす影響を明らかにする。また、消費者は鶏卵を購入する際に鮮度を重視するため、流通業界では鮮度の指標としてハウユニットを取引基準にしている。そのため、卵の鮮度保持に必要な出荷サイクルを検討する。

[成果の内容・特徴]
@ウィンドウレス鶏舎と開放鶏舎の卵殻色を比較すると、開放鶏舎でL値は高いが、鶏舎間の色差は 0.6〜1.4と鶏舎構造の違いによる影響はほとんど認められない。また、28週齢を基準とした場合、 8週間後に色差が 3.6〜4.0と著しく異なり、卵殻色は鶏齢に大きく影響される(表1)。

A卵を日の射す場所で保存すると、室内と比較して卵殻色の変化が大きく、色差が産卵 3日後に著しく異なる。室内での保存の色差は、産卵 2日後ではわずかに異なるが、 3日後では相当に異なる(表2)。また、紫外線を卵に照射すると卵殻色に大きく影響し、24時間後の色差として 2.3となる(表3)。

Bハウユニットを卵の鮮度の指標にした場合、卵の保管場所の違いによる影響は小さいが、日数の経過につれて鮮度は低下し、産卵 3日後には73〜74となる。ただし、産卵 2日後まではハウユニットは 80前後で推移する(表2)。

C褐色卵は、卵の鮮度保持および保管後の卵殻色の褪色を防ぐため、日光の影響を受けない室内の暗所で保管し、産卵後 2日以内に出荷することが望ましい。

[成果の活用面・留意点]
@採卵鶏農家およびGPセンターにおける鶏卵生産、保管及び出荷等の取り扱いに活用する。

A屋外に自動販売機を設置して卵の販売を行う場合は、日よけを設置するなどして日が当たらないようにする。


[具体的データ]






研究課題名:新飼料の長期給与が産卵に及ぼす影響
予算 区分:経常
研究 期間:平成7年度(平成5〜7年)
研究担当者:福原絵里子、村上徹哉、上田修二、津留崎正信
発表論文等:平成7年度福岡県農業総合試験場畜産関係試験成績書