α−トコフェロール含有量の高い高付加価値鶏卵の生産技術

[要約]
 α−トコフェロールを 200〜 600r/s添加した飼料を給与すると、産卵成績には影響せず、市販配合飼料を給与した場合に比べ、α−トコフェロール含量が10〜 30倍の鶏卵を生産できる。また、添加量400r/sで成人1日必要量に相当する8r以上を含有する鶏卵を生産することができる。鶏卵中α−トコフェロール含量は、添加飼料給与後、10日程度で一定レベルとなる。

畜産研究所・中小家畜部・家きん研究室  [ 連 絡 先] 092−925−5177
[部会名]畜 産   [専 門]飼育管理  [対 象]家禽類  [分 類]指 導
 
[背景・ねらい]
 近年、消費者の健康志向や高品質志向に対応して、全国で300近くのブランド鶏卵が生産されている。本県では、α−リノレン酸,DHAを含む県産ブランド「ひみこ」を開発し、販売されているが、さらに新しいブランド鶏卵の開発が求められている。
 そこで、体内で脂質酸化を防止することにより動脈硬化や生活習慣病防止に効果があり、ホルモンバランス正常化作用があるとされるα−トコフェロールを豊富に含む鶏卵生産技術を確立する。(要望機関名:JAふくれん(H 8))
 
[成果の内容・特徴]
 1 市販配合飼料にα−トコフェロールを 200、 400、 600r/s添加すると、添加飼料給  与後14日後の鶏卵 1個当たりα−トコフェロール含量は 5.0,9.2,15.9rとなり、無添加  の場合の 10〜 30倍に増加する(表 1)。飼料中α−トコフェロール含量400r/sとする  と、成人1日必要量に相当する8r以上を含有する鶏卵が得られる。
 
 2 α−トコフェロール添加量が 200〜 600r/sの飼料を採卵鶏に長期間給与しても,産  卵率や平均卵重等の産卵成績には影響しない(表 2)。
 
 3 α−トコフェロール添加飼料給与開始後10日で,鶏卵中α−トコフェロール含量は一   定のレベルとなり, 安定的に推移する(表3)。
 
                             
[成果の活用面・留意点]
 1 α−トコフェロールを強化した高付加価値鶏卵生産の参考資料とする。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:ビタミンEと木酢酸等を利用した鶏卵生産技術
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:福原絵里子,津留崎正信,前田統幸,西尾祐介
 発表論文等:平成8〜10年度畜産関係試験成績書