系統豚「フクオカヨーク」の繁殖能力と産肉能力の年次変化
 
[要約]
系統豚「フクオカヨーク」の近交係数の上昇に伴う生産子数の変化は見られないが、育
成率は上昇傾向にある。1日平均増体量は、高水準で推移している。
畜産研究所中小家畜部・養豚研究室  連絡先:092−922−4100
部会名:畜産 専門:育種 対象:家畜類 分類:研究
 
[背景・ねらい]
 当場において、平成5年に造成完了した系統豚「フクオカヨーク」を種雌豚10頭及
び種雌豚40頭で維持・増殖して、種豚を県内の農家に供給している。系統豚を長期間
安定的に供給するためには、維持群の能力及び維持集団の遺伝的構成を確実に保持して
いくことが重要である。そのため、繁殖能力と産肉能力を調査し、系統豚の血縁係数及
び近交係数の年次変化が豚の繁殖性及び産内性に及ぼす影響について明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 系統豚は5年間で雌20頭、雌59頭更新し、平均血縁係数は25.0と2.7
上昇し、平均近交係数は10.4と2.3上昇しているものの、平均血縁係数の上限が
35.0と、平均近交係数の上限が15.0に対し、上昇の程度は緩やかである(表1)
 2 繁殖成績は、7年度以降、生産子数が11頭前後と安定している。育成率は9年
度では疾病の影響により85%と下がったが、年々良くなる傾向で推移している。近交
係数の上昇による繁殖能力の低下は見られない(表2)。
 3 検定豚の1日平均増体重及び飼料要求率は産肉能力検定判定基準(A〜Eの5段
階、C以上が合格)の1日平均増体重780g以上(判定A)、飼料要求率3.40以
下(判定A)にあり、ロース断面積も33.0cm×cm(判定A)以上で年次変化は
なく、優れている。背脂肪は年次変化はなく良好(判定C)である(表3)。
 4 調査豚の1日平均増体重は産肉能力検定判定基準の判定A(780g以上)、飼
料要求率は判定A(3.6以下)にあり、優れている。また、ロース断面積は判定B(1
8.0cm×cm以上)であり、背脂肪は判定C(3.2cm以内)ではあるが、やや
厚くなる傾向にある(表3)。
 
[成果の活用面と留意点]
 1 今後の系統豚「フクオカヨーク」の維持・更新のための資料とする。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題:系統豚維持群の繁殖及び産内性能調査
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成5〜継続)
研究担当者:山本英二、村上徹哉、大和碩哉
発表論文等:平成5〜9年度畜産関係試験成績書